ヤン・コルネリスゾーン・フェルメイエン

ヤン・コルネリスゾーン・フェルメイエン（Jan Cornelisz. Vermeyen、Joannes Maiusとも呼ばれる、1500年頃または1504年頃 - 1559年）は、フランドル地方（現在のベルギーを中心とする地域）で活躍した画家です。神聖ローマ皇帝カール5世のチュニス征服に同行し、その戦争の様子を描いた作品群で、歴史に名を残しています。

生涯

フェルメイエンは、現在のオランダ、アムステルダム都市圏に位置するベーフェルウェイクで生まれました。初期には各地を旅しながら制作活動を行っていた画家、ヤン・ホッサールト（Jan Gossaert、1478年頃 - 1532年）のもとで修行を積みました。1525年には、メヘレン（現在のベルギー）で、ハプスブルク領ネーデルラント総督であったマルグリット・ドートリッシュの宮廷に仕えました。マルグリットの死後、彼女の甥にあたる神聖ローマ皇帝カール5世に才能を認められ、皇帝のために働くことになります。

ネーデルラントの画家たちの伝記を著したカレル・ファン・マンデル（Karel van Mander、1548年 - 1606年）によれば、フェルメイエンは1533年から1534年にかけて、カール5世がオスマン帝国支配下のチュニス（現在のチュニジア）を攻撃する遠征に随行し、その戦いの様子を記録するよう命じられたと伝えられています。フェルメイエンが描いたキリスト教徒側の勝利の情景は版画として広く流布し、また、カール5世の妹で、後にハプスブルク領ネーデルラント総督となったマリア・フォン・エスターライヒが、ウィレム・デ・パンネマーケル（Willem de Pannemaker）らに制作させたタペストリーのデザインとしても採用されました。これらのタペストリーは、戦いの様子を壮大に表現しており、フェルメイエンの原画の重要性を示しています。

作品の特徴と significance

フェルメイエンの作品は、歴史的記録としての価値と、芸術作品としての美しさを兼ね備えています。特にチュニス征服を描いた作品群は、当時の戦争の様子や、カール5世の権威を伝える貴重な資料となっています。また、肖像画においても、その人物の内面を捉えようとする写実的な描写が高く評価されています。

フェルメイエンは、16世紀のヨーロッパにおける政治的、軍事的出来事を視覚的に記録し、後世に伝える役割を果たしました。彼の作品は、歴史を学ぶ上で欠かせない資料であると同時に、美術史においても重要な位置を占めています。

彼の作品は、以下の美術館で見ることができます。

ルーブル美術館
ウィーン美術史美術館
プラド美術館

代表作品

チュニス征服に関する作品（版画、タペストリー原画など多数）
カール5世の肖像画
マリア・フォン・エスターライヒの肖像画

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