ユア・ミラー

ユア・ミラー（I'll Be Your Mirror）

「ユア・ミラー」（原題：I'll Be Your Mirror）は、1966年にヴェルヴェット・アンダーグラウンドとニコが発表した楽曲で、作詞作曲はルー・リードによるものです。この楽曲は、デビューシングル「オール・トゥモロウズ・パーティーズ」のB面に収録されています。

背景と制作経緯

1965年11月、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのドラマーであるアンガス・マクリーズが脱退し、商業主義に対する意見を表明しました。その後、モーリン・タッカーが新たなドラマーとして加入します。同年12月、映画製作者のバーバラ・ルービンが彼らをアンディ・ウォーホールに紹介。当時、ウォーホールは彼らに対して、ニコとのコラボレーションを提案しました。この頃、ニコはルー・リードに「ねえルー。私、あなたの鏡になる」と言い、その言葉が「ユア・ミラー」の制作のインスピレーションとなったとされています。

1966年4月、ニューヨークのセプター・スタジオで四日間かけて、バンドはファースト・アルバム収録のための楽曲を録音しました。「ユア・ミラー」のレコーディングでは、メンバーがニコに対し、より細く繊細なボーカルを求めていました。しかし彼女はテイクを重ねるごとに声を大きくし、攻撃的なスタイルで歌っていたことが、後にスターリング・モリソンのインタビューで触れられています。

シングル及びアルバム収録

同年7月にリリースされたヴェルヴェット・アンダーグラウンドの最初のシングル「オール・トゥモロウズ・パーティーズ」には、「ユア・ミラー」がB面として収録されました。このシングルもニコがリード・ボーカルを務めています。さらに、1967年3月12日に発売されたアルバム『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』にはこの曲が収録されており、アルバムのバージョンはフェイドアウトで終わるのに対して、シングル・バージョンはフェイドアウトしません。このシングルバージョンは、2002年のデラックス・エディションに再収録されました。

コンサートとパフォーマンス

1972年1月28日、ルー・リード、ジョン・ケイル、ニコの3人はパリのバタクランでコンサートを行い、その模様はフランスのテレビ局によって放送されました。このコンサートでも「ユア・ミラー」が演奏され、長い間ブートレッグで流通していましたが、2004年に正式なアルバム『Le Bataclan '72』としてリリースされました。また、リードは1998年のライブ・アルバム『Perfect Night: Live in London』でもこの楽曲を演奏しています。

カバー・バージョン

「ユア・ミラー」はさまざまなアーティストによるカバーも存在しています。アリス・テレルは1985年のアルバム『Les enfants du Velvet』に収録し、プリミティヴスは1989年にアルバム『Pure』で同曲をカバーしました。さらに、2008年にはアトラス・サウンドがシングルとしてリリースし、2021年にはコートニー・バーネットがコンピレーション・アルバム『I’ll Be Your Mirror: A Tribute to The Velvet Underground & Nico』に収録しました。

「ユア・ミラー」は、ルー・リードとニコの関係性を象徴し、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの音楽における重要な位置を占める作品です。その後の音楽シーンに多大な影響を与えたこの楽曲の歴史を知ることで、アートとしての彼らの魅力をさらに深く知ることができるでしょう。

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