ユウタービスケット

ユウタービスケットは、日本のサラブレッド競走馬です。主な勝ち鞍は、2008年に新潟競馬場で開催された障害の重賞競走、新潟ジャンプステークスでした。

この馬のキャリアは、2006年7月2日に福島競馬場での平地競走で始まりました。14頭が出走した新馬戦では13着という結果に終わり、その後も平地競走で10戦を消化しましたが、残念ながら一度も勝利を挙げることはできませんでした。このため、2007年の秋シーズンより、陣営は障害競走への転向を決断します。

障害レースに移ってからも、すぐに結果が出たわけではありませんでした。転向後も連敗が続き、初勝利を掴むまでには時間を要しました。しかし、転機は2008年の夏に訪れます。同年8月9日、新潟競馬場で行われた障害未勝利戦において、ようやく待望の初勝利を記録したのです。

初勝利を挙げた勢いそのままに、ユウタービスケットは次走として障害重賞である新潟ジャンプステークスに駒を進めました。このレースでは、比較的軽い57kgの斤量での出走となり、馬の状態も良好だと伝えられていましたが、直前の評価はそれほど高くなく、8番人気にとどまりました。しかし、レース本番では、スタート後から無理なく中団前方の有利な位置を取りつけ、最後の直線では見事に抜け出す素晴らしい走りを見せました。追ってくる2着のブラックレディを半馬身差抑え込み、優勝を果たしたのです。この勝利は、ユウタービスケットにとってはもちろん、手綱を取った蓑島靖典騎手にとっても、デビューから8年目にして初めての重賞制覇となる記念すべき一戦となりました。

重賞ウィナーとなった後、ユウタービスケットはさらなる飛躍を目指しましたが、その後の競走生活は順風満帆とはいきませんでした。新潟ジャンプステークスの次に挑んだ阪神ジャンプステークスでは、レース途中の障害飛越でバランスを崩し、競走を中止せざるを得ないアクシデントに見舞われます。続く東京オータムジャンプでも期待されたような成績を残せず、8着と振るいませんでした。

そして迎えた2008年の暮れ、最大の目標の一つである中山大障害に出走しました。日本の障害競走における最高峰のレースでの活躍が期待されましたが、悲劇が襲います。レースの2周目、5号障害を飛越した際の着地で、ユウタービスケットはバランスを崩してつまずき、そのまま競走中止となってしまいました。このアクシデントにより、左前腕骨の開放骨折という極めて重篤な怪我を負ってしまい、残念ながら予後不良と診断されました。回復の見込みがないことから、その場で安楽死の処置が取られ、ユウタービスケットの短い競走生活は幕を閉じました。

血統面では、全姉に地方競馬で重賞を4勝し、中央交流のエーデルワイス賞でも3着に入った実績を持つグローリサンディがいます。また、そのグローリサンディの仔、すなわちユウタービスケットにとっての近親にあたるトラストは、中央競馬の札幌2歳ステークスを制し、2016年にはNARグランプリの最優秀ターフ馬に選ばれるなど活躍しました。ユウタービスケット自身も、重賞勝利という輝きを見せた馬でしたが、その生涯はあまりにも短いものとなりました。しかし、新潟ジャンプステークスでの豪快な飛越と勝利は、今も多くの競馬ファンの記憶に残っています。

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