ユニテリアン主義

ユニテリアン主義（Unitarianism）

ユニテリアン主義とは、キリスト教における三位一体の教義を否定し、神の唯一性を重視する宗教的立場を指します。この考え方は、イエス・キリストを宗教的指導者として認めつつも、彼の神性については否定的な見解を持っています。そのため、ユニテリアン主義は正統派キリスト教と区別されます。

歴史的な背景

ユニテリアン主義の思想の起源は、1769年頃にイギリス国教会の牧師テオフィルス・リンゼイや化学者ジョセフ・プリーストリーによって推進されました。当時、主流のキリスト教における39の教義に異を唱える非三位一体論が展開され、思潮が形成されました。その根底には、ポーランドで活動を始めたソッツィーニ派やポーランド兄弟団の影響があり、彼らはユニテリアンの思想を確立しましたが、最初に「ユニテリアン」という呼称は使用されていませんでした。これに対し、1567年にはトランシルヴァニアにユニテリアンを名乗る教団が成立しました。

この宗教的な思潮がイギリスに流入した際、信者たちは自由思想家や非国教徒として扱われ、合理主義やヒューマニズムの影響も受けつつ発展しました。アメリカでは1825年にアメリカ・ユニテリアン協会が設立され、特に南北戦争の時代において奴隷廃止運動に参加し、リンカーン大統領を支持しました。しかし、明治時代に日本におけるユニテリアン主義は、教育勅語に対する受け入れに始まり、様々な社会運動に影響を与えていきました。

ユニテリアン主義の多様性

ユニテリアン主義は、さまざまな派閥によって構成されています。

1. 聖書的ユニテリアン派 (Biblical Unitarianism): この派閥は三位一体を否定し、神を唯一無二の父として理解します。
2. 合理的ユニテリアン派 (Rational Unitarianism): 神は人格的存在であるとしながら、イエスは神の子ではなく、導き手であるとする立場です。
3. ユニテリアン・ユニヴァーサリズム (Unitarian Universalism): 決まった信条を持たず、各個人の自由な解釈を重視します。
4. 福音ユニテリアン派 (Evangelical Unitarians): 19世紀以来、福音主義運動の中で位置づけられる派閥で、聖書の唯一性に強く信じる特徴があります。

これらの派閥は、それぞれの思想を持ちながらも、共通の信念や目的に基づいて相互に関連しています。特に、日本におけるユニテリアン主義は、19世紀に入ってからの布教活動を通じて発展しました。1886年にはアメリカ・ユニテリアン協会から宣教師が来日し、様々な活動が始まりました。また、1890年には日本における最初のユニテリアン雑誌も発行されました。

日本におけるユニテリアン主義

日本において、ユニテリアンと関わる様々な動きが見られ、一時は盛況を極めましたが、戦後には新たな展開を迎えました。特に、ユニテリアン教会は日本自由宗教協会やその後の宗教法人として活動し、現代でもさまざまな社会運動に影響を与えています。

ユニテリアン主義は、単なる宗教的立場でなく、合理主義やヒューマニズムといった思考の自由を重視する運動としてより広がりを見せており、それは今日に至るまで、ますます多様化した形で受け継がれています。

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