ユニバース・トレイディング

ユニバース・トレイディングとは

ユニバース・トレイディングは、1971年に設立された貿易会社で、東京都品川区に本社を置いていました。創設者は金炳植で、約30名の社員が在籍していました。この企業の設立は、当時の在日朝鮮人総連合会の幹部によるものであり、表向きは貴金属の輸出を主な業務としていましたが、その実態は北朝鮮の工作機関に関連したフロント企業であったとされています。

金炳植と北朝鮮との関係

金炳植が在日朝鮮人総連合会の幹部であったことから、ユニバース・トレイディングは北朝鮮に強い結びつきを持っていました。公安警察によると、会社の実際の目的は、日本国内における情報収集や資金調達、さらには海外の工作員との連絡であったとされています。しかし、貿易という業務はそれ自体が収益を生み出すことから、活動を隠蔽するための適切なカバーとして機能していました。また、社員の中には、よど号事件に関与したグループの家族も含まれていたという噂があります。

高大基の転機

1972年、金炳植が北朝鮮に召還され失脚すると、その会社は高大基に引き継がれました。高は、朝鮮大学校を卒業し、朝鮮総連傘下の研究機関で活動していた人物でもあります。彼は武闘工作部隊の訓練隊長であり、組織の中で重要な役割を果たしていました。高は渡辺秀子と結婚し2児をもうけましたが、1973年に突然行方をくらまし、北朝鮮に戻ったのではないかと疑われています。

2児拉致事件の発生

高が行方不明になった後、渡辺秀子は高の行方を追ってユニバース・トレイディングを訪れました。この訪問がきっかけとなり、彼女と2人の子供（高敬美と高剛）は行方不明になってしまいました。事件の背後には、ユニバース・トレイディングが北朝鮮工作機関の隠れ蓑であることが発覚するのを避けるために、親子を監禁したと考えられています。特に、当時6歳と3歳だった幼い姉弟は、1974年に北朝鮮に送られたとされています。

日本側の捜査

日本の警察がこの母子失踪事件に本格的に動き出したのは2007年になってからであり、事件が発生してから34年の歳月が流れていました。その頃には、多くの情報が散在しており事件の全貌をつかむには時間がかかりました。また、ユニバース・トレイディングの役員であった木下陽子（本名・洪寿恵）は、子供たちを拉致した犯人として国際手配されました。

国会での行動

渡辺秀子の2児拉致事件に関連して、多くのメディアがユニバース・トレイディングの関係者による日本人および在日朝鮮人の拉致事例について報じる中、衆議院議員の西村真悟は2007年6月の国会で、政府がこの事案についてどれだけ捜査し、実態を把握しているかを問う質問を提出しました。このような議論は、事件の真相を明らかにするための重要なステップとなっています。

結論

ユニバース・トレイディングは、一見普通の貿易会社に見えながら、その背後には深い闇の存在が隠されていたことが明らかになっています。この会社の活動と親子の拉致事件は、日本国内における北朝鮮工作の一端を示す重要なケースとして現在も注目され続けています。

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