ユリイカ (雑誌)

月刊誌『ユリイカ』の概要

『ユリイカ』（Eureka）は、青土社が発行する文学や思想を中心とした月刊の総合芸術誌です。この雑誌の名前は、「見つけた」という意味の「Eureka」に由来しており、文学における新たな発見を追求し続けています。

歴史と沿革

本誌は1956年に伊達得夫によって書肆ユリイカとして設立されました。初期の数年間、伊達は雑誌の発行を続けましたが、彼の死去に伴い1961年に一時休刊となりました。しかし、1969年に清水康雄が青土社を設立し、再び『ユリイカ』が登場します。再創刊された雑誌は、少し縦長の菊判変型の形態を持ち、旧「ユリイカ」の憧れを受け継ぎつつ、新たなスタートを切りました。

復刊に際して、大岡信が「断章」の連載を始め、著名な作家である吉田健一にも連載を依頼し、これが後に大きな反響を呼びました。吉田の連載「ヨオロッパの世紀末」は、創刊号から約一年間にわたり連載され、最終回後には第23回野間文芸賞を受賞するなど、大きな成功を収めました。

特集とコンテンツ

『ユリイカ』では、特定の作家やテーマを毎月取り上げ、その作品分析や評論が行われる特集が組まれています。毎号、注目すべきキーワードを設け、詩人、小説家、漫画家、アニメーション作家、芸術家など多岐にわたる著者の作品が紹介され、文化全体を扱う深い視点が提供されています。また、近年では作家の作品論をまとめた臨時増刊号も多く発行されています。

編集長の歴史

雑誌の歴史の中で、さまざまな編集長がその舵を取ってきました。初代の清水康雄をはじめとして、三浦雅士や小野好恵など、多くの著名な人物が編集に関与しました。編集長は、雑誌の方向性やテーマを決定する重要な役割を果たしており、その人格や見識が作品に大きく影響を与えています。

新人作家の発掘

『ユリイカ』は新鋭詩人の発見にも力を注いでおり、毎号「今月の作品」というコーナーを設けて投稿を受け付けています。特に優秀な投稿者は「ユリイカの新人」として表彰され、その多くが後に著名な作家として成長しています。これまでに受賞した詩人には城戸朱理や倉石信乃などが名を連ねています。彼らは、用意された舞台で新たな詩的表現を試み、多くの支持を得ることとなりました。

参考文献と外部リンク

本誌の詳細を知りたい方には、田中栞の『書肆ユリイカの本』（青土社、2009年）や長谷川郁夫の『吉田健一』新潮社（2014年）をお勧めします。さらに、青土社のウェブサイトでは最新の発行情報や特集テーマについての情報が提供されています。

『ユリイカ』は今後も文学と思想の架け橋となり、多くの読者に影響を与え続けることでしょう。

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