ユリ根

ユリ根とは

ユリ根とは、ユリ科ユリ属の植物の鱗茎、いわゆる球根部分を指します。一般的には、食用とされるユリの鱗茎を指すことが多いですが、広義にはユリの鱗茎全般を指すこともあります。ユリの葉が変化した鱗茎に養分が蓄えられており、豊富な栄養を含んでいるのが特徴です。

ユリ根の特徴

ユリ根は、皮のない鱗茎であるため、乾燥や高温、過湿に弱い性質を持っています。しかし、皮がない分、食用にする際にはそのまま調理できるという利点もあります。調理の際は、形を崩さないように一枚ずつ丁寧に剥がして使われることが多いです。

ユリ根の利用

食用として利用されるのは、主にヤマ[[ユリ]]、オニユリ、コオニ[[ユリ]]などの大型の鱗茎を持つユリです。これらのユリ根は、ホクホクとした食感と、ほんのりとした甘み、そしてわずかな苦みが特徴です。

ユリ根は、関西地方の正月料理やおせち料理、料亭などで使われる高級食材として知られています。旬は秋から冬にかけて（11月〜2月）で、特に正月用として貯蔵されたものが多く出回ります。良質なユリ根は、色が白く、張りがあり、硬く締まっているものが良いとされています。かつては野生のものが流通していましたが、現在ではほとんどが栽培品です。日本国内で生産されるユリ根の99%は北海道産であり、その7割程度がJAようてい管内で栽培されています。

ユリ根の栄養価

ユリ根は、可食部100gあたり約125kcalと、野菜の中では高エネルギーであり、炭水化物を約30%含んでいます。また、タンパク質、ビタミンB群、カリウム、鉄、食物繊維などの微量栄養素も豊富です。特に、鱗茎に蓄えられたデンプンが糖に変化することで、独特の甘みが生まれます。

古くから滋養強壮効果があることで知られており、漢方薬としても用いられてきました。漢語では「玉簪花根」と呼ばれ、薬種として扱われています。また、水溶性食物繊維であるグルコマンナンを豊富に含んでおり、便秘改善やコレステロール値の上昇を抑制する効果も期待されています。

ユリ根の調理

ユリ根は、茶碗蒸しや和え物、含め煮などの和風煮物、かき揚げ、かぶら蒸し、おせち料理の金団など、さまざまな料理に利用されます。調理する際は、鱗茎の根元の硬い部分を取り除き、鱗片を一枚ずつ剥がして茹でます。茹でる際に少量の酢を加えることで、白くきれいに茹で上げることができます。強火で茹でると煮崩れしやすいため、注意が必要です。

「鯨百合」という料理は、ユリ根を水洗いして一枚ずつに分け、蒸して裏ごししたものに、炙って細かくした昆布を混ぜて板状に伸ばし、蒸し上げてから油で揚げたものです。この料理が皮鯨に似ていることから「鯨百合」という名前が付けられました。

ユリ根を保存する際には、水に濡らすと傷みやすくなるため、濡らさないようにし、おがくずの中に入れて冷暗所に置くのが適切です。

食用とされるユリの種

ユリの多くは灰汁が多くて食用には適さないため、灰汁の少ない種が食用として利用されます。主に利用されるのは、コオニ[[ユリ]]、オニユリ、ヤマ[[ユリ]]です。これらのユリは、いずれも鱗茎が大型であることが特徴です。

• - オニユリ
• - コオニ[[ユリ]]：現在食用に栽培されているものの多くは、コオニ[[ユリ]]の栽培品種（主に「白銀」）です。
• - ヤマ[[ユリ]]
• - カノコユリ

まとめ

ユリ根は、その独特の食感と風味、そして豊富な栄養価から、古くから珍重されてきた食材です。特に、北海道産のユリ根は品質が高く、多くの人々に愛されています。様々な調理法で、ユリ根の美味しさを楽しんでみてください。

参考資料

猪股慶子監修 成美堂出版編集部編『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年
講談社編『からだにやさしい旬の食材 野菜の本』講談社、2013年
主婦の友社編『野菜まるごと大図鑑』主婦の友社、2011年
ユリの王国[その6] ユリ根とシンテッポウユリ 東アジア植物記 小杉波留夫 2020/08/25

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