ユンカース F.13

ユンカース F.13

ユンカース F.13は、第一次世界大戦後の1918年にドイツで開発された世界初の全金属製旅客機です。この機体は、流線形の滑らかなデザインと先進的な片持ち式単葉機の構造を持ち、時代を先取りした存在として知られています。ユンカース社が初めて商用に投入した機体であり、合計300機以上が製造され、その運用はほぼ20年にわたりました。

設計と開発

F.13の設計は、アルミニウム合金（ジュラルミン）を使用しており、ユンカース独特の波形ジュラルミン製外皮で覆われています。機体は密閉式キャビンを備えており、4名の乗客と2名の乗員が搭乗可能でした。コックピットは半開放式で窓が設けられていませんが、乗客用には初めてシートベルトが装備されている珍しい特徴も持ち合わせています。

F.13のエンジンは、メルセデス D.IIIaという水冷直列エンジンを搭載しており、期待に応えて初飛行を1919年に果たしました。量産型ではより強力なBMW IIIaエンジンに変更され、その後も様々なエンジンのバリエーションが登場しました。派生型はエンジンや構造の改良が施されているため、識別は容易です。

運用の歴史

第一次世界大戦終了後、ユンカース社は民間航空機への転換に力を注ぎ、F.13を大々的に販売しました。エアコー社の軍用機と競争しながら、同機はオーストリアやアメリカなどで需要が高まりました。1919年にはコロンビアに初めて輸出され、以降多数の国に渡りました。特にルフトハンザ航空では多数のF.13が使用され、1937年まで運航され続けました。

1921年に設立したユンカース航空は、F.13の普及を促進するため、安価なリース及び無利子ローンを提供し、これによってヨーロッパ各地の航空会社が運航することになりました。また、F.13は戦争にも利用されることがあり、コロンビア・ペルー戦争ではコロンビア空軍によって爆撃機として使用された例もあります。

機体の仕様

F.13の基本スペックは以下の通りです：

• - 乗員：2名、乗客数：4名
• - 全長：9.59 m、全幅：14.8 m、全高：3.50 m
• - 最大離陸重量：1,640 kg
• - エンジン：メルセデス D.IIIa、水冷直列エンジン
• - 最高速度：173 km/h、航続距離：1,400 km

現在の状況

ユンカース F.13の現存機体は、ドイツ博物館やパリのル・ブルジェ航空宇宙博物館で展示されており、過去の航空史を物語る重要な機体として評価されています。

まとめ

ユンカース F.13は、航空業界の進化に大きな影響を与えた全金属製旅客機であり、その技術革新は多くの航空機に受け継がれています。その存在は、航空機の商業化と旅客輸送の歴史においても重要な一歩となりました。

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