ユンカース G.38

ユンカース G.38

ユンカース G.38（Junkers G.38）は、1929年にドイツで初飛行を行った旅客機であり、その後の歴史において多くの重要な役割を果たしてきました。この航空機は旅客輸送だけでなく、軍事用に改造されることもありました。特に、1930年代には日本の大日本帝国陸軍がG.38の爆撃機型であるK.51を採用し、最終的には6機を製造しました。

設計と開発

G.38は、その設計においてユンカース流の特徴を色濃く反映しています。主翼は多鋼管桁による片持ち式で、波状ジュラルミンの応力外皮で覆われています。また、当時の大型機としては異例の双尾翼構造を採用し、方向舵の力を分散させるデザインが見られました。搭載されたエンジンは、最初はL55型とL8型の2種類で、それぞれV型12気筒エンジンと6気筒エンジンが用いられ、合計出力は1470kW（1971hp）に達しました。

1930年5月、当時のルフトハンザドイツ航空によってG.38の商業輸送運用が開始され、初めて旅客を乗せての定期便が就航しました。この航空機はその特異な構造により、広々とした客室を有し、快適な旅を提供しました。客室には、改良が加えられたことで最大30人までの乗客が搭載できる仕様があり、操縦席の前方視界を確保するための斜めの窓が設けられていました。

運用の歴史

1931年になると、G.38はベルリンとロンドンの間を結ぶ定期便に投入され、航空旅行の新しい時代を開く役割を果たしました。しかし、その後の機体改修に伴い、一時的に運航が中断され、1932年まで改装作業が続けられました。その結果、D-2000機の胴体は2階建てに改造され、さらに多くの乗客を収容できるようになりました。これにより、G.38はその運用範囲を大幅に拡大しました。

1934年には、エンジンの換装がなされ、合計出力は3000kW（4023hp）となりましたが、その後の運用には不幸が待っていました。1936年、整備後のテスト飛行中にD-AZUR機が墜落してしまい、ルフトハンザはこの機体を退役させることを余儀なくされました。一方、D-APIS機は約10年間にわたり運用され続けましたが、第二次世界大戦の勃発によって最終的にドイツ空軍に徴発され、1941年に地上で破壊されてしまいました。

主要な仕様と特徴

• - 乗員: 7名
• - 乗客数: 30名（D-2000/D-AZUR）/34名（D-2500/D-APIS）
• - 全長: 23.21 m
• - 全幅: 44 m
• - 全高: 7.2 m
• - 最大離陸重量: 21,240 kg
• - エンジン: ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの混載
• - 最高速度: 225 km/h
• - 航続距離: 3,460 km

ユンカース G.38はその革新的な設計と運用により、航空史に残る重要な機体のひとつとなりました。設計面においても、後のブレンデッドウイングボディ機の開発に影響を与えており、多くの航空機愛好者にとっても興味深い存在です。

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