ユーラブルグント王国

ユーラブルグント王国は、9世紀後半に旧ブルグント王国領のユラ山脈以北に位置した王国であり、上ブルグント王国、高ブルグント王国、トランスユラニア王国とも呼ばれました。現在のスイス中西部とフランスのブルゴーニュ地方東部にまたがる地域に相当します。

この地域は、カロリング朝フランク王国の分裂後、中部フランク王国、さらにロタリンギアの一部となりました。ロタリンギア王ロタール2世は、在地貴族の統制を図るため、ヴェルフ家のオセール伯コンラート2世を招き入れました。コンラート2世は、この地で次第に権力を確立していきます。ロタール2世の死後、メルセン条約によって東フランク王国領となったものの、後にリブモント条約によって分離独立しました。

フランク王国を一時的に統一したカール3世が888年に死去すると、コンラート2世の息子であるルドルフ1世が上ブルグントを継承し、ブルグント王位に就いて王国が成立しました。933年には、ルドルフ2世がキスユラブルグント王国を併合し、以降は単にブルグント王国と呼ばれるようになり、首都をアルルに定めたため、アルル王国とも称されるようになりました。

しかし、王国成立後も、ジュネーヴ伯やサヴォイア家といった在地貴族の勢力が依然として強く、王権は不安定な状態が続きました。国王ルドルフ3世は、支配を強化するために司教に支配権を与える政策をとりました。この政策が、後の聖界諸侯領形成へと繋がっていきます。1032年、ヴェルフ家の最後の男系の王であるルドルフ3世が死去すると、ルドルフ3世の姪と結婚していたローマ皇帝コンラート2世がブルグント王位を継承しました。これにより、ブルグント王国は神聖ローマ帝国に併合され、その歴史を終えることとなりました。

ユーラブルグント王国は、短い期間ではありましたが、中世ヨーロッパの歴史において重要な役割を果たしました。この地域の政治的な変遷や、後の聖界諸侯領の形成に大きな影響を与えた王国として、歴史的に重要な位置を占めています。

関連項目

ブルグント王の一覧

脚注

[参考文献を参照]

参考文献

* 森田安一 編『新版世界各国史 スイス・ベネルクス史』山川出版社、1998年、p.24-25

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