ユーリー・ウサチェフ

ユーリイ・ウサチェフ：宇宙への貢献とその軌跡

ユーリイ・ウラジーミロヴィチ・ウサチェフ（ロシア語: Юрий Владимирович Усачёв、1957年10月9日生まれ）は、ロシア連邦の著名な元宇宙飛行士です。南部のロストフ州ドネツクで生を受けた彼は、現在モスクワ近郊のスターシティに居を構えています。

学歴と初期キャリア

ウサチェフ氏は、故郷のドネツク公立学校を1975年に卒業しました。その後、高等教育に進み、モスクワ航空大学で学び、1985年に工学の学位を取得して卒業しました。大学での専門知識を活かし、卒業後はS.P.コリョロフ ロケット&スペース コーポレーション エネルギアに入社します。ここでは、宇宙遊泳や将来の宇宙構造物の建設計画、広報活動、さらには人間工学といった幅広い分野で重要な職務に携わりました。

宇宙飛行士への道と初期の準備

宇宙開発分野での経験を積んだ後、ウサチェフ氏は1989年に宇宙飛行士候補として選抜される栄誉を得ました。1989年から1992年にかけては、宇宙飛行士としての基礎訓練プログラムを修了します。この期間、彼は「ミール」宇宙ステーションへのミッションであるミール13、14、19のバックアップクルーとしても重要な役割を担いました。これは、いつ来るか分からない自身の宇宙飛行に備えるための貴重な経験となりました。

輝かしい宇宙飛行の記録

ウサチェフ氏の最初の宇宙飛行は、1994年1月8日から7月9日にかけてのミール宇宙ステーションへの任務でした。このミッションでは、搭乗運用技術者として約半年間にわたり宇宙での活動に従事しました。

2回目の宇宙飛行は、1996年2月21日から9月2日まで行われたミール21ミッションです。ここでも長期滞在クルーとしてミールの運用に貢献し、ミッションの終盤にはNASAの宇宙飛行士であるシャノン・ルシッド氏とも共に活動しました。

その後、彼は国際宇宙ステーション（ISS）の建設に関わるスペースシャトルミッションにも参加します。STS-101ミッションでは、ISSの組み立て支援を目的とした飛行に搭乗しました。

彼のキャリアにおける特筆すべき任務は、2001年3月8日に打ち上げられたISS第2次長期滞在ミッションでしょう。このミッションで、ウサチェフ氏はクルーの機長を務めました。第2次長期滞在クルーはISSにて約163日間にわたる長期滞在を果たし、様々な科学実験やメンテナンス作業を行いました。そして、2001年8月22日、STS-105ミッションによって無事地球へ帰還を果たしました。

これまでの宇宙滞在日数は合計で670日を超え、船外活動（宇宙遊泳）も6回に及び、宇宙開発における彼の貢献の大きさを物語っています。彼は2005年に宇宙飛行士としての現役を退き、引退しました。

栄誉と受章歴

その長きにわたる宇宙での功績に対し、ウサチェフ氏には国内外から数々の栄誉が贈られています。

1994年の最初の宇宙飛行を終えた後、ロシア連邦の最高栄誉の一つであるロシア連邦英雄を受章しました。
1996年の2度目の飛行の後には、フランス政府からレジオンドヌール勲章シュバリエ章を、アメリカ航空宇宙局（NASA）からはNASA宇宙飛行メダルを受章しています。

これらの受章は、彼の勇気と専門知識、そして国際協力への貢献が高く評価された証と言えるでしょう。

私生活と趣味

ウサチェフ氏は、カリーニングラード出身のヴェラ・セルゲーヴナ・ウサチェヴァ氏と結婚しており、夫妻の間には一人娘のゼーニャさんがいます。彼の父親は既に他界していますが、母親のアンナ・グリゴレヴナ・ウサチェヴァ氏はドネツクで暮らしています。また、彼には4歳年上の兄と双子の姉がいます。個人的な趣味としては、写真撮影とビデオ撮影を楽しむ、多才な一面も持っています。

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