ユーロビジョン・ソング・コンテスト1991

ユーロビジョン・ソング・コンテスト1991：波乱のローマ大会

1991年5月4日、第36回ユーロビジョン・ソング・コンテストは、イタリアの首都ローマにあるチネチッタで開催されました。当初はサンレモでの開催が予定されていましたが、湾岸戦争やユーゴスラビア紛争といった国際情勢の緊迫化を考慮し、安全面からローマへと開催地が変更されました。イタリア放送協会(RAI)が制作を担当し、3時間14分にわたって放送された番組は、イタリア国内でおよそ700万人が視聴しました。

司会進行を巡る混乱

司会進行は、ジリオラ・チンクェッティとトト・クトゥーニョが務めました。しかし、EBU（欧州放送連合）の規定では、欧州共通語として英語またはフランス語を使用することと定められていたにもかかわらず、審査員の票の読み上げや確認を含めた番組進行のほとんどがイタリア語で行われました。トト・クトゥーニョによるアーティスト名や曲紹介の発音にも難があり、BBCのコメンテーター、テリー・ウォーガンはこれを「明らかな規約違反であり、問題だ」と批判しました。

参加国と投票方法

オランダは戦没者追悼記念日のため欠場し、代わりにマルタが復帰。結果として、参加国は1増1減で22ヶ国となりました。東西統一後、初めての出場となるドイツにも注目が集まりました。

投票方法は変更されず、各国の審査員が気に入った他国の10曲に投票し、お気に入り順に12, 10, 8点から1点を配点。演目終了後、国際電話を通じて各国のスポークスマンが出場順に口頭で発表し、プレゼンターが復唱確認後、スコアボードに加算するという形式で行われました。しかし、このプロセスもイタリア語のみで実施されたことが、更なる混乱を招きました。また、今大会では最高得点が2曲並んだため、12点、10点の数が多い方を優勝とするルールが適用されました。

優勝はスウェーデン代表カローラ

接戦を制し、優勝したのはスウェーデン代表のカローラが歌う「Fångad av en stormvind」でした。スウェーデンにとって、3度目の優勝となります。

物議を醸した大会運営

大会では、1975年以降変わっていない得点方式にもかかわらず、司会者が誤解を招く発言を繰り返す場面が見られました。また、カローラが歌唱中に会場のサウンドシステムが停止し、観客が歌を聞き取れないというトラブルも発生。放送音声は正常だったものの、会場は騒然となりました。さらに、大会は規定の時間内に終わらず、延長されるという事態も重なり、運営面での課題が浮き彫りとなりました。

参加アーティストたちは、登場時に流れる短編ビデオの中で、イタリアの有名曲を歌い上げました。しかし、全体を通して、言語の問題や技術的なトラブル、そして不慣れな司会進行が重なり、1991年のユーロビジョン・ソング・コンテストは、多くの批判が寄せられる結果となりました。

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