ユーロプロップ・インターナショナル TP400

TP400-D6 ターボプロップエンジン

TP400-D6は、エアバスA400M輸送機のためにユーロプロップ・インターナショナルによって開発されたターボプロップエンジンです。このエンジンは、イギリス、フランス、ドイツ、スペインが参加する国際共同事業によって誕生しました。西側諸国で開発されたターボプロップエンジンとしては、最大級の出力を誇ります。

ちなみに、世界最大の出力を持つターボプロップエンジンは、旧ソ連・ロシアのツポレフTu-95シリーズに搭載されたクズネツォフNK-12MPエンジンで、その出力は11,185 kW（15,000 shp）に達します。

設計

TP400-D6エンジンは、2軸のガス発生機と、プロペラ駆動用の第3の出力軸を持つ独特の設計が特徴です。8枚の複合材製ブレードで構成される直径5.3mのプロペラは、ギアボックスによって減速され、最適な回転数で駆動されます。ガス発生機は、5段の中圧圧縮機と6段の高圧圧縮機で構成されています。パワータービンは3段構成です。

タービン入口温度は1500K、圧縮比は約25:1に達し、最大出力は10,690 shpを発揮します。

開発と生産

TP400-D6は、2005年10月28日に最初の運転試験が行われ、2006年2月28日には初めてプロペラの回転に成功しました。しかし、試験段階で燃焼室の性能に課題があることが判明し、C-130テストベッドに搭載しての飛行試験は大幅に遅延し、2008年後半にずれ込みました。このエンジンの開発遅延は、エアバスA400Mの実用化を大きく遅らせる要因となりました。

2016年からは、量産型エンジンの生産がセビリア工場などで開始され、安定供給体制が整えられています。

分担

TP400-D6エンジンの開発・製造は、以下の企業が分担して行っています。各社の担当部位は、国別の出資比率に応じて決定されています。

ロールスロイス（イギリス）:
エンジン全体
HP圧縮機
LP軸
中部容器
軸受け支持構造体
スネクマ（フランス）:
圧縮機
HPタービン
Powerplant installation
潤滑装置
始動装置
エンジン制御システム（MTUと共同）
補機ギアボックス（イスパノ・スイザと共同）
MTUエアロ・エンジンズ（ドイツ）:
IPコンプレッサー
IPタービン
IP軸
エンジン制御システム（スネクマと共同）
エンジンテスト
最終組み立て
ITP（スペイン、イギリス）:
パワータービン
External dressings
前部軸受け支持
Turbine exit casing
Special test equipment
Extensive engine testing
排気ノズル

A400M 導入国

A400Mは、以下の10ヶ国が計178機を発注しています。

ドイツ (53機)
フランス (50機)
スペイン (27機)
イギリス (22機)
トルコ (10機)
ベルギー (7機)
マレーシア (4機)
ルクセンブルク (1機)
カザフスタン (2機)
インドネシア (2機)

外部リンク

Europrop International

もう一度検索