ユーロヴェロ

ユーロヴェロ：ヨーロッパを繋ぐ壮大な自転車道ネットワーク

ユーロヴェロ（EuroVelo）は、ヨーロッパ自転車連盟（ECF）が推進する全欧自転車道路網です。ヨーロッパ全土を網羅する19の長距離ルートで構成され、総延長約9万kmにも及ぶ壮大なプロジェクトです。2023年現在、そのうち6万km以上が実際に利用可能となっています。

ユーロヴェロの概要

ユーロヴェロは、単なる自転車道ではなく、ヨーロッパの文化、自然、そして人々を繋ぐ架け橋としての役割も担っています。長距離サイクリングはもちろん、地元住民の短距離利用にも適しており、多様なニーズに応えることができます。既存の自転車道や新たに計画されたルートを組み合わせることで、広大なネットワークを形成しています。

このプロジェクトは、アメリカのイーストコースト・グリーンウェイやカナダのトランス・カナダ・トレイルといった「グリーンウェイ」プロジェクトと類似しており、その規模とコンセプトにおいて、世界的に注目されています。

ルート認定の条件

ユーロヴェロとして認定されるためには、いくつかの厳しい条件を満たす必要があります。

傾斜: 6%以内であること
幅: 2台以上の自転車が並走できる幅があること
交通量: 平均一日1000台以上の自動二輪車の通行がないこと
舗装: 距離の80%が舗装されていること
年間を通じて通行可能であること
サービス: 30kmごとにサービス設備、50kmごとに宿泊設備、150kmごとに公共交通機関へのアクセスがあること

これらの条件を満たすことで、安全で快適なサイクリング体験を提供することが目指されています。

ユーロヴェロの全ルート

ユーロヴェロは、南北ルートと東西ルートを中心に、全19のルートで構成されています。以下に主要なルートを紹介します。

南北ルート

EV 1 - 大西洋岸ルート: ノールカップ〜サグレス (8,186 km)
EV 3 - ピルグリム・ルート: トロンハイム〜サンティアゴ・デ・コンポステーラ (5,122 km)
EV 5 - フランチジェナ・ローマ街道: ロンドン〜ローマ〜ブリンディシ (3,900 km)
EV 7 - ザ・サン・ルート: ノールカップ〜マルタ (7,305 km)
EV 9 - バルト海からアドリア海（アンバー・ルート）: グダニスク〜プーラ (1,930 km)
EV 11 - 東欧ルート: ノールカップ〜アテネ (5,984 km)
EV 13 - 鉄のカーテントレイル: キルケネス〜ツァレヴォ (9,000 km)

東西ルート

EV 2 - キャピタルズ・ルート: ゴールウェイ〜モスクワ (5,500 km)
EV 4 - 中欧ルート: ロズコフ〜キエフ (4,000 km)
EV 6 - リバーズ・ルート: 大西洋岸〜ナント〜コンスタンツァ (4,448 km)
EV 8 - 地中海ルート: カディス〜アテネ〜キプロス (5,888 km)
EV 10 - バルト海環状ルート（ハンザ・サーキット）: (7,980 km)
EV 12 - 北海環状ルート: (5,932 km)

これらのルートは、ヨーロッパの多様な景観と文化を体験できる、魅力的なサイクリングコースです。

ユーロヴェロの目的と行政

ユーロヴェロの主な目的は、自動車中心の社会から、自転車利用を推奨する社会への転換を促進することです。大陸を横断するような長距離サイクリングだけでなく、地元での短距離利用を促進することで、より多くの人々に自転車の魅力を知ってもらうことを目指しています。

自転車道の開発は、国、地域、地方自治体、NGOなど、様々な主体によって行われています。ユーロヴェロとして国際的な地位を確立することで、建設に対する資金面や政治的な支援を得やすくなるというメリットがあります。ユーロヴェロの名称は、運営者によって承認されたルートのみが使用できます。

まとめ

ユーロヴェロは、ヨーロッパを繋ぐ壮大な自転車道ネットワークであり、サイクリストにとって夢のようなプロジェクトです。美しい景色、豊かな文化、そして人々の温かさに触れながら、ヨーロッパを自転車で旅してみませんか。

外部リンク

EuroVelo — ユーロヴェロ自転車道路網（European Cycle Route Network）公式ウェブサイト

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