ヨアヒム・エルンスト (アンハルト公)

ヨアヒム・エルンスト（Joachim Ernst, 1901年1月11日 - 1947年2月18日）は、アンハルト公国最後の公爵であり、激動の時代を生きた人物です。彼の生涯は、ドイツ帝国の崩壊、ヴァイマル共和政の成立、ナチス政権の台頭、そして第二次世界大戦という、20世紀前半の歴史の縮図とも言えるでしょう。

生涯

1901年、ヨアヒム・エルンストはアンハルト公エドゥアルトの次男としてデッサウで生まれました。父エドゥアルトは1918年4月21日に兄フリードリヒ2世の跡を継いでアンハルト公となりますが、わずか5ヶ月後の9月13日に崩御。兄レオポルト・フリードリヒがすでに亡くなっていたため、ヨアヒム・エルンストが公位を継承しました。しかし、当時ヨアヒム・エルンストは未成年であったため、叔父のアリベルトが摂政として政治を代行しました。

しかし、ヨアヒム・エルンストの治世は長くは続きませんでした。1918年11月、ドイツ革命が勃発。君主制廃止の流れの中で、彼は11月12日に退位を余儀なくされました。これにより、11世紀から中部ドイツの領主家として続いたアスカーニエン家は、その地位を失うこととなりました。アンハルト公国はヴァイマル共和政下でアンハルト自由州となり、ヨアヒム・エルンストは公爵としての権力を失ったのです。

退位後、ヨアヒム・エルンストはナチスの台頭に反発したため、1944年に逮捕され、ダッハウ強制収容所に収容されました。3ヶ月後に解放されるものの、1945年にはソビエト連邦のNKVDによって再び逮捕され、ブーヘンヴァルト強制収容所へ送られました。過酷な環境下で病気と衰弱が進み、1947年2月18日、ヨアヒム・エルンストは同地で亡くなりました。彼の死は、第二次世界大戦後の混乱期における、貴族の没落を象徴する出来事と言えるでしょう。

結婚と子女

ヨアヒム・エルンストは生涯で2度結婚しています。最初の妻はエリーザベト・シュトリックロット（Elisabeth Strickrodt Gfn von Askanien, 1903年 - 1971年）で、1927年3月3日に結婚しましたが、1929年に離婚しました。彼女との間には子供はいませんでした。

2番目の妻はエッダ＝シャルロッテ・フォン・シュテファニ＝マルヴィッツ（Edda-Charlotte von Stephani-Marwitz, 1905年 - 1986年）で、1929年10月15日に結婚しました。彼女との間には、二男三女が生まれました。

マリー・アントネッテ・エリーザベト・アレクサンドラ・イルムガルト・エッダ・シャルロッテ（1930年 - 1992年）
アンナ・ルイーゼ・マリー・フリーデリケ・エリーザベト・アリス（1933年 - 2003年）
レオポルト・フリードリヒ・フランツ・ジグハルト・フーベルトゥス・エルトマン（1938年 - 1963年） - アンハルト公家家長
エッダ・アーデルハイト・アントネッテ・エンマ・エリーザベト（1940年 - ）
* エドゥアルト・ユリウス・エルンスト・アウグスト・エルトマン（1941年 - ） - アンハルト公家家長

ヨアヒム・エルンストの子供たちは、激動の時代を生き抜き、それぞれの道を歩みました。彼の長男レオポルト・フリードリヒは若くして亡くなりましたが、次男のエドゥアルトはアンハルト公家の家長として、その血統を受け継いでいます。

ヨアヒム・エルンストの生涯は、短いながらも波乱に満ちたものでした。彼はアンハルト公国の最後の統治者として、歴史にその名を刻み、その後のドイツの歴史に翻弄されながらも、家族を愛し、信念を貫いた人物として記憶されるでしょう。

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