ヨシップ・イェラチッチ

ヨシップ・イェラチッチ：激動の時代を駆け抜けたクロアチアの英雄

ヨシップ・イェラチッチ（1801年10月16日 - 1859年5月20日）は、19世紀のハプスブルク君主国（オーストリア帝国）において、軍人、政治家として重要な役割を果たした人物です。特に、クロアチア総督（バン）として1848年革命という激動の時代に対処し、その手腕を発揮しました。彼は、バン・イェラチッチ、またはブジム伯爵ヨシップ・イェラチッチとも呼ばれ、クロアチアにおいては国民的な英雄として広く知られています。

生い立ちと軍人としての経歴

イェラチッチは、軍政国境地帯に属するペトロヴァラディン（現在のセルビア共和国ヴォイヴォディナ自治州）で生まれました。彼の家系は、オスマン帝国に反抗したクロアチア王国時代から続くイェラチッチ家です。彼はウィーンで軍人としての教育を受け、その才能を開花させていきました。

1848年革命とイェラチッチの役割

1848年、ヨーロッパ全体を揺るがした革命の波がハプスブルク君主国にも押し寄せました。この時、イェラチッチはオーストリア皇帝フェルディナント1世の下、ハンガリー革命の鎮圧に尽力するなど、皇帝への忠誠を示しました。革命の混乱の中、彼はクロアチアのサボル（国会）において、農奴制の廃止など、重要な改革を主導しました。これらの改革は、クロアチア社会の近代化に大きく貢献するものとなりました。

クロアチア総督としての活躍

1848年3月、ウィーンで三月革命が起こると、その知らせは3月15日にザグレブに届きました。1830年代のイリリア運動に端を発する民族主義が高揚し、3月25日には大規模な「民族会議」が開催されました。この会議では、「民族の要求」30項目とともに、イェラチッチをバン（総督）に選出する決議が採択されました。興味深いことに、この動きとは別に、イェラチッチはすでに3月23日に皇帝からバンに任命されていたのです。これは、彼の能力と人望が、皇帝からも高く評価されていたことを示しています。

イェラチッチの死とその後

ヨシップ・イェラチッチは、1859年5月20日にザグレブで生涯を閉じました。彼の死後、その功績は長く称えられ、クロアチアの国民的英雄として、今もなお人々の記憶に深く刻まれています。

ザグレブの中心にあるイェラチッチ広場は、彼の名前を冠したものであり、彼の功績を称える象徴的な場所となっています。

関連情報
ザ・ドム・スプレムニ
イェラチッチ広場

外部リンク
Josef Jellachich (Encyclopedia Britaennica) (英語)
Joseph Jellachich de Buzim (American Cyclopædia)
* Ban Josip Jelačić (英語)

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