ヨシフ・パンチッチ

ヨシフ・パンチッチ：セルビア植物学の先駆者

ヨシフ・パンチッチ（Јосиф Панчић、1814年4月17日 - 1888年2月25日）は、セルビアの植物学者、医師であり、セルビア科学芸術アカデミーの初代会長を務めた人物です。彼の研究は、バルカン半島の植物学の発展に大きく貢献しました。

生涯

パンチッチは、1814年にノヴィ・ヴィノドルスキ近郊のBribirで生まれました。ザグレブ大学で哲学を学んだ後、ペシュト大学で医学を修め、医師として活動を始めます。1840年代半ばにはウィーンに滞在し、植物学の研究に情熱を注ぎました。

セルビアへ帰国後、パンチッチは政府の医師として働きながら、1853年からベオグラードの学校で医学を教鞭をとりました。セルビア正教に改宗した際に、名前をJosipからJosifに改名しています。

パンチッチは、近代的な植物学研究を行った最初のバルカン半島出身者の一人として知られています。ベオグラード大学の教授として教鞭を執る傍ら、ベオグラード植物園の園長も務めました。1887年には、セルビア科学芸術アカデミーの初代会長に就任し、セルビアの学術発展に大きく貢献しました。

業績

パンチッチの最大の功績の一つは、針葉樹であるオモリカトウヒ（Picea omorika、別名：セルビアトウヒ）を発見したことです。彼はセルビアの植物相を精力的に研究し、ヘルツェゴヴィナ、ブルガリア、モンテネグロなど、周辺地域の植物調査にも尽力しました。モンテネグロのBijela Gora山頂、Velika Jastrebicaにも足を踏み入れています。

彼の業績を称え、ヨモギ属の一種であるArtemisia panciciや、ハマウツボ科の一種であるOrobanche panciciiに献名されています。

著書

パンチッチは、数多くの植物学に関する著作を残しました。以下はその代表的なものです。

Flora agri belgradensis, 1865
Flora principatus Serbiae, 1874
Elenchus plantarum vascularium quas aestate a. 1873 in Crna Gora, 1875
Elementa ad floram principatus Bulgariae, 1883
* Additamenta ad Floram Principatus Serbiae, 1884

これらの著書は、当時のバルカン半島の植物相を知る上で貴重な資料となっています。

ヨシフ・パンチッチは、セルビアの植物学の発展に大きく貢献しただけでなく、セルビアの学術界を牽引した重要な人物として、今もなお高く評価されています。

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