ヨタカ

ヨタカについて

ヨタカ（夜鷹、蚊母鳥、学名：Caprimulgus indicus）は、鳥類のヨタカ目ヨタカ科ヨタカ属に分類される特異な鳥です。

分布

この鳥はインドやインドネシア、カンボジア、スリランカ、タイ、日本、中国の東部、ネパール、大韓民国、パキスタン、バングラデシュ、フィリピンなど幅広い地域に分布しています。特に種小名の「indicus」は「インドの」を意味し、繁殖のために中華人民共和国東部やロシア南東部、朝鮮半島に生息し、冬になるとインドネシアやフィリピンへと移動します。日本では、夏季に九州以北で繁殖を行い、伊豆諸島や南西諸島では渡りの途中に現れます。このように、ヨタカ目では本種のみが日本に生息していることから、特別な存在であることがわかります。

形態

ヨタカの全長は約29センチメートルで、全体の羽色は暗褐色や褐色で、さらに黒褐色、赤褐色、薄灰色の斑紋が複雑に組み合わさっています。この色合いは、樹上で見つかりにくくするための保護色とされています。大型の翼は先端が尖り、頭部は平たく大きいです。オスは頸部や尾羽に白い斑紋があり、メスは淡褐色の斑紋が特徴的です。

生態

ヨタカは森林や草原など多様な環境に生息し、平地から山地までその生息域を広げています。渡りの際には、日本海の離島でも観察されることがあります。この鳥は夜行性で、昼間は木の上で擬態しながら休んでいます。緊急時には翼を広げて威嚇します。鳴き声は大きく特徴的で、単調な「キョキョキョキョ」と響きます。この特徴から、キュウリキザミやナマスタタキといった別名も持っています。

食性は主に昆虫を中心とした動物食で、飛びながら口を大きく開けて獲物を捕まえます。繁殖期には、落ち葉の上に1〜2個の卵を産みます。特にメスが抱卵を担当し、抱卵期間はおおよそ17日から19日ほどです。親鳥は敵に見つからないよう慎重に行動し、雛も目立たないよう静かに過ごします。

雛が生まれると、外見は黄色ですがすぐに親鳥のような地味な色合いになります。また、暑い時期には喉の袋を膨らませて体温調節を行います。

人間との関係

ヨタカは生息地の開発によって生息数が減少しているため、日本の環境省のレッドリストでは「準絶滅危惧」とされています。
江戸時代には夜行性であることから「夜鷹」と呼ばれ、夜に働く人々の象徴的存在となりました。また、宮沢賢治の童話『よだかの星』では、その姿と存在が作品に深く刻まれています。英語圏でも「Night hawks」は夜を楽しむ人々を指す言葉として用いられており、エドワード・ホッパーの作品「ナイトホークス」でも描かれています。

このように、ヨタカはその独特の生態や文化的な背景から、私たちの生活や自然における重要な存在であるといえます。

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