ヨナクニトキホコリ

ヨナクニトキホコリ（与那国時ほこり）

概要

ヨナクニトキホコリ（Elatostema yonakuniense）は、イラクサ科に属する多年生植物です。この種は、沖縄県の与那国島に特有で、その名前は「茂る」という意味の「ほこり」に由来します。湿潤な石灰岩地帯の低地で、非常に限られた生息環境の中で成長しています。これまでの調査では、ヨナクニトキホコリの自生地は2か所しか確認されておらず、その存在は極めて希少です。

形態

この植物は高さが10cmから20cmに達し、直立した茎を持っていますが、基部は匍匐性です。葉は互生し、長さは1.5cmから4cmで、斜楕円形をしています。葉の先端は鈍く、周囲には鋸歯が見られ、表面と中肋には粗い毛があります。

ヨナクニトキホコリは通常、雌雄同株ですが、まれに雌雄異株の個体も存在します。花は白色で、雄花は葉の付け根に腋生し、集散花序を形成します。雌花は頭状花序を持っており、直径2mmから3mmの小さな花が密集して咲いています。

環境と生息条件

ヨナクニトキホコリは、湿った場所を好むため、特に石灰岩が多い低地に生育しています。しかし、現在ではその自生地が減少しており、他の植物との競争や水質の悪化、開発による生息環境の喪失といった影響がその個体数に深刻な影響を与えています。特に、シマミズなどの他種と競うことが多く、それがさらにヨナクニトキホコリの生存を難しくしています。

保護状況

ヨナクニトキホコリは、環境省のレッドリストにおいて絶滅危惧IA類（CR）に指定されており、その保護が求められています。また、沖縄県のレッドデータブックにも同様の分類がなされています。このような状況下では、適切な保護対策が不可欠です。

参考文献

• - 環境庁自然環境局野生生物課編『改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物8 植物I（維管束植物）』財団法人自然環境研究センター、2000年
• - 島袋敬一編著『琉球列島維管束植物集覧【改訂版】』九州大学出版会、1997年
• - 多和田真淳監修・池原直樹著『沖縄植物野外活用図鑑 第4巻 海辺の植物とシダ植物』新星図書出版、1979年
• - 横田昌嗣・北原孝「ヨナクニトキホコリ」『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物（菌類編・植物編）-レッドデータおきなわ-』2006年

外部リンク

• - J-IBIS絶滅危惧種情報
• - 野の花賛歌 - ヨナクニトキホコリの写真

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