ヨハネス18世 (ローマ教皇)

ヨハネス18世は、11世紀初頭の1004年から1009年までローマ教皇を務めた人物です。彼の生涯は、当時の政治的・社会的な混乱と深く結びついていました。本名はジョヴァンニ・ファサーノ、ラテン語名はヨハネス・ファサヌスといい、ローマの聖職者レオの子としてラパニャーノで生まれました。

教皇在位中、ヨハネス18世は、ローマを支配していたクレスケンティウス一族の首領、ヨハネス・クレスケンティウス3世の強い影響下にありました。当時のイタリアは、後の神聖ローマ皇帝ハインリヒ2世と、自称イタリア王アルドゥイーノ・ディヴレーアとの対立によって混乱しており、また、ローマではペストが流行し、サラセン人がティレニア海沿岸を略奪するなど、社会不安が蔓延していました。

このような状況の中、ヨハネス18世は教皇として、教会組織の細やかな管理に力を注ぎました。また、スラヴ人への布教活動を推進するため、バイエルンの都市バンベルクに司教座を設立しました。このバンベルク司教座は、皇帝ハインリヒ2世にとっても重要な拠点となりました。さらに、フルーリー修道院長とサンス司教、オルレアン司教との間で生じた紛争を裁定するなど、教会内の問題解決にも努めました。

教皇としての任期を終えたヨハネス18世は、退位後にローマの修道院に入り、その直後に亡くなりました。

なお、「教皇ヨハネス」の番号について、ヨハネス16世が対立教皇と見なされているため、本来であればヨハネス18世は17番目の「教皇ヨハネス」となります。しかし、当時はヨハネス16世を正統な教皇と見なしていたため、16番目の「教皇ヨハネス」はヨハネス17世と称し、ヨハネス18世もそれに続きました。また、14世と15世の間に別の「教皇ヨハネス」がいたという説があり、その伝説の教皇を「16世」とすることがあったため、一部の歴史学者はヨハネス18世を「ヨハネス19世」または「ヨハネス18世（19世）」と呼ぶことがあります。

ヨハネス18世の教皇としての活動は、激動の時代において、教会組織の維持と拡大に尽力したことを示しています。彼の生涯は、当時の政治情勢と教会の関係、また、混乱の中でも信仰を貫こうとした人々の姿を伝えています。

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