ヨハン・ネポムク・ダーフィト

ヨハン・ネポムク・ダーフィト（Johann Nepomuk David）は、1895年11月30日にオーストリアのエフェルディングで生まれ、1977年12月22日に没した作曲家、オルガニスト、そして音楽教育者です。

経歴

幼い頃から聖歌隊に所属し、音楽に親しんで育ちました。初めは小学校の教師を務めていましたが、音楽への探求心を深め、1921年から翌年にかけてウィーン大学とウィーン音楽院でヨーゼフ・マルクスやグイド・アドラーに師事し、さらにヨーゼフ・マティアス・ハウアーやアルノルト・シェーンベルクからは個人的な指導を受けました。これらの学びを経て、音楽家としての道を本格的に歩み始めます。

1926年にはバッハ合唱団を設立し、教会音楽家としても活動しました。1930年からはヴェルスの教会のオルガニストとして、教会音楽の実践に深く関わりました。

教育者としては、1934年にライプツィヒ音楽院の教授に就任し、音楽理論や作曲法を教える傍ら、合唱指揮も行いました。1942年には院長代理を務めるなど、教育機関の中心的な役割を担いました。当時のナチス・ドイツの時代において、政治的な活動から距離を置いていたダーフィトは、器楽曲の創作に力を注ぎました。1943年にライプツィヒが空襲に見舞われるようになると、ザクセン州クリミッチャウへ疎開しましたが、教育活動は続けられました。また、1944年8月にはアドルフ・ヒトラーが作成した「天才名簿（„Gottbegnadeten-Liste"）」に掲載されたことにより、戦時中の動員を免除されました。

第二次世界大戦後は、ザルツブルクにあるモーツァルテウム大学で作曲の教授と合唱指揮者を1945年から1947年まで務めました。その後、1948年にはシュトゥットガルト音楽演劇大学の理論と対位法の教授となり、1963年まで長きにわたり後進の指導にあたりました。この間、作曲家としての功績に対してフランツ・リスト賞やオーストリア国家賞など、多くの重要な賞を受賞しています。

彼の指導を受けた著名な弟子には、ヘルムート・エーダーやヘルムート・ラッヘンマンなどがおり、多くの優れた音楽家を育てました。

主要作品

ダーフィトの作品は多岐にわたり、特に交響曲を数多く作曲しました。8曲の交響曲のほか、弦楽のための協奏曲や短い交響曲、シンフォニア、シャコンヌなど、管弦楽作品が多く見られます。

協奏曲としては、ヴァイオリンやチェロのための二重協奏曲、複数のヴァイオリン協奏曲、ヴィオラと室内オーケストラのための「メランコリア」、オルガン協奏曲などがあります。

室内楽や器楽曲も手がけており、フルート、ヴィオラ、チェロ、クラリネット、ヴァイオリン、オルガンなどのためのソナタや三重奏曲を作曲しています。

声楽曲では、混声合唱のための「スターバト・マーテル」や「ドイツ・ミサ曲」、独唱、合唱、管弦楽のための「レクイエム」、混声合唱のための「詩篇139番」など、宗教音楽を中心に重要な作品を残しました。

また、音楽学者としても活動し、『木星交響曲』に関する著書を残しています。

ヨハン・ネポムク・ダーフィトは、オーストリアとドイツの主要な音楽教育機関で教鞭を執り、戦中・戦後を通じて多くの作品を生み出した、20世紀の重要な作曲家、教育者の一人です。

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