ヨハン・ハインリヒ・シュメルツァー

ヨハン・ハインリヒ・シュメルツァー（1623年 - 1680年）は、バロック音楽の時代にオーストリアで活躍した作曲家、そして卓越したヴァイオリニストです。彼は主にウィーンで活動し、その生涯をプラハで閉じました。

シュメルツァーはオーストリア人でありながら、当時イタリア人がその才能を独占していたヴァイオリン演奏と作曲の分野で、異例なほどの高い評価を得ました。1660年には、ある旅行者が彼を「全ヨーロッパで最も傑出したヴァイオリニストの一人ではないか」と評した記録が残っています。

1664年に出版された彼の作品「Sonatae unarum fidium」は、ドイツ語圏の作曲家による最初のヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ集です。この作品集は、中期バロックのヴァイオリンソナタの特徴である、華麗なヴィルトゥオーソ技巧、独自の構成、そして変奏を伴う持続低音といった要素を内包しています。

シュメルツァーは、ハプスブルク家の宮廷楽長に就任するという名誉を得ました。当時のウィーン宮廷では、宮廷楽長はイタリア人が務めることが常でしたが、前任のジョヴァンニ・フェリーチェ・サンチェスの死後、オーストリア人としては異例の抜擢を受けました。しかし、宮廷楽長就任から数ヶ月後、彼はペストによってその生涯を閉じました。

シュメルツァーは、同時代のオーストリアにおける器楽曲作曲の第一人者であり、後進の作曲家たちに大きな影響を与えました。特に、同じくオーストリアのヴァイオリニスト兼作曲家であるハインリヒ・ビーバーは、シュメルツァーから多大な影響を受けたとされ、弟子の一人であった可能性も指摘されています。

彼の息子であるアンドレアス・アントン・シュメルツァーも、父の跡を継ぎ、作曲家、そしてヴァイオリニストとして活躍しました。

主な作品

フェルディナンド3世の死に寄せる哀歌（Lamento sopra la morte di Ferdinado III）（1657年）
12の選ばれたソナタ（Duodena selactarum sonatarum）（1659年）
聖と俗との音楽的協和（宗教的・世俗的合奏曲集）（Sacro-profanus concentus musicus）（1662年）
一つの弦楽器のためのソナタ集（Sonata unarum fidium）（1664年）
フェンシング指南（Die musikalische Fechtschul）（1668年）
放屁の日のためのソナタ（Sonata a 5 per camera al giorno delle correggie）（1676年）
* 150の組曲、声楽曲、および教会音楽

VIDEO

Violin sonata by Schmelzer, performed by Apollo's Fire

外部リンク

ヨハン・ハインリヒ・シュメルツァーの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト

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