ヨハン・フリードリヒ (ヴュルテンベルク公)

ヨハン・フリードリヒ：ヴュルテンベルク公、激動の時代を生きた君主

ヨハン・フリードリヒ（1582年5月5日 - 1628年7月18日）は、17世紀初頭のヴュルテンベルク公であり、その治世（1608年 - 1628年）は三十年戦争前夜という激動の時代と重なりました。父はヴュルテンベルク公フリードリヒ1世、母はアンハルト侯ヨアヒム・エルンストの娘ジビッラです。彼は父の跡を継ぎヴュルテンベルク公となりました。

生涯と業績

ヨハン・フリードリヒは善良で平和的な統治者でしたが、決断力に欠け、難題に直面すると弱さを見せることもありました。しかし、内政においては父が停止させていたヴュルテンベルクの国法を復活させ、廃止されていた評議会を再開するなど、父の政策を修正する側面もありました。また、父の時代に権勢を誇った大臣マテウス・エンツリンを不正行為で告発し処刑するという大胆な行動も見られました。

しかし、財政面では目立った成果を上げることができませんでした。領邦議会の議論に翻弄され、不適切な貨幣鋳造を行った結果、財政状況は悪化しました。

外交面では、父と同様にプロテスタント諸侯との連携を重視し、1608年にはプロテスタント同盟を結成しました。1621年には同盟軍の一員としてプファルツ選帝侯フリードリヒ5世の救援に向かいましたが、同盟軍は崩壊。その後も同盟への忠誠を貫き、1622年のヴィンプフェンの戦いにも参加しましたが、カトリック軍に敗れ、弟を失うという痛手を負いました。中立協定にもかかわらず、カトリック軍はヴュルテンベルク公国を略奪し、その後も敵軍による占拠が続きました。

領土分割と子孫

1617年、ヨハン・フリードリヒは弟たちとの間で領土分割協定を結びました。弟のルートヴィヒ・フリードリヒはモンベリアル伯領、ユリウス・フリードリヒはブレンツとヴァイルティンゲンの領主となりました。他の弟たちも領地を与えられましたが、子孫を残せなかったため、最終的にはヴュルテンベルク本家に返還されました。

ヨハン・フリードリヒは妻バルバラ・ゾフィアとの間に8人の子供をもうけました。その中には、後にヴュルテンベルク公となるエーバーハルト3世や、ヴュルテンベルク＝ノイエンシュタット公となるフリードリヒなどがいます。

ヨハン・フリードリヒの生涯は、三十年戦争という激動の時代に翻弄されながらも、ヴュルテンベルク公として国を守り、子孫に領土を継承した君主の姿を伝えています。彼の治世は、ヴュルテンベルクの歴史において重要な転換期であり、その影響は後世にまで及んでいます。

参考資料

Bernd Ottnad: Johann Friedrich. In: Neue Deutsche Biographie (NDB). Band 10, Duncker & Humblot, Berlin 1974, ISBN 3-428-00191-5, S. 543 f. (電子テキスト版).
Paul Friedrich von Stälin (1881). "Johann Friedrich, Herzog von Würtemberg". Allgemeine Deutsche Biographie (ドイツ語). Vol. 14. Leipzig: Duncker & Humblot. pp. 441–442.
Paul Sauer: Herzog Friedrich I. von Württemberg 1557–1608. Ungestümer Reformer und weltgewandter Autokrat. Stuttgart 2003.
Harald Schukraft: Kleine Geschichte des Hauses Württemberg. Silberburg publishing, Tübingen, 2006, ISBN 978-3-87407-725-5
* Das Haus Württemberg – ein biographisches Lexikon, Kohlhammer Verlag, Stuttgart 1997, ISBN 3-17-013605-4

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