ヨハン・ヴィルヘルム (ユーリヒ＝クレーフェ＝ベルク公)

ユーリヒ＝クレーフェ＝ベルク公ヨハン・ヴィルヘルム

ヨハン・ヴィルヘルム（1562年5月28日 - 1609年3月25日）は、16世紀後半から17世紀初頭にかけてユーリヒ＝クレーフェ＝ベルク公領を統治した人物です。彼は、ユーリヒ＝クレーフェ＝ベルク公ヴィルヘルム5世とマリア・フォン・エスターライヒの息子として生まれました。

生涯

幼少期をクサンテンで過ごし、ミュンスター司教となりますが、兄カール・フリードリヒの死によって、ユーリヒ＝クレーフェ＝ベルク公領の後継者となりました。彼はアルテナ伯でもありました。

1585年にバーデン＝バーデン辺境伯フィリベルトの娘ヤコベと結婚（1597年没）、その後、ロレーヌ公シャルル3世の娘アントワネットと再婚（1610年没）しています。また、1585年以前にアンナ・オプ・デン・グラーフとの間に息子ヘルマンをもうけたという説もあります。

ヨハン・ヴィルヘルムは精神疾患を患っており、医師フランチェスコ・マリア・グアッツォの治療を受けていました。

1609年にヨハン・ヴィルヘルムが死去すると、彼の遺領をめぐり、二人の姉妹の子供たちが後継者として権利を主張しました。長姉マリー・エレオノーレはプロイセン公アルブレヒト・フリードリヒと結婚しており、その娘アンナはブランデンブルク選帝侯ヨハン・ジギスムントと結婚していました。次姉アンナはプファルツ＝ノイブルク公フィリップ・ルートヴィヒと結婚しており、その息子ヴォルフガング・ヴィルヘルムはカトリックでした。

後継者争いと三十年戦争

プロテスタントとカトリックの対立は深刻化し、1618年に三十年戦争が勃発。ヨハン・ヴィルヘルムの後継者争いは、この戦争の一因となりました。戦火により領地は荒廃し、ヴィルヘルム5世の時代に築かれた財産は失われました。最終的に、クレーフェ＝マルクはブランデンブルク選帝侯家が、ユーリヒ＝ベルクはプファルツ＝ノイブルク公家が領有することになりました。

ヨハン・ヴィルヘルムの死後、ユーリヒ＝クレーフェ＝ベルク公領は、宗教的対立と後継者争いに翻弄され、三十年戦争というヨーロッパ全体を巻き込む大戦の引き金の一つとなったのです。

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