クサンテン

クサンテン：ローマの面影を残すドイツの古都

クサンテンは、ドイツのノルトライン＝ヴェストファーレン州に位置する人口約22,000人の都市です。オランダとの国境に近いライン川左岸に位置し、古代ローマ帝国の軍営都市を起源とする歴史的な街として知られています。

歴史

クサンテンの起源は、初代ローマ皇帝アウグストゥスの時代に遡ります。ライン川右岸のゲルマン人に対抗するための軍営都市として建設されました。しかし、ローマ軍はトイトブルクの戦いで敗北し、ライン川がローマとゲルマンの境界線となりました。

100年頃、トラヤヌス帝の時代には植民市（コロニア）としての地位を得て、「コロニア・ウルピア・トラヤーナ」と呼ばれるようになりました。この都市は、ローマ帝国の属州である下ゲルマニアにおいて、ケルンに次ぐ第2の都市として繁栄しました。考古学公園には、当時の都市の様子が再現されています。

ローマ帝国の衰退とともに、3世紀にはフランク族の襲撃を受けて荒廃しましたが、4世紀後半には殉教者墓地の上に教会が建てられ、その後聖ヴィクトル大聖堂へと発展しました。中世には交易都市として栄えましたが、16世紀初頭には衰退しました。第二次世界大戦では空襲により大きな被害を受けましたが、戦後復興を遂げました。

見どころ

聖ヴィクトル大聖堂

1263年から16世紀半ばにかけて建設されたゴシック様式の大聖堂で、ライン下流地域におけるケルン大聖堂に次ぐ重要な教会建築です。守護聖人ヴィクトルの像が飾られています。

考古学公園

ローマ時代の都市の様子を再現した公園です。浴場、神殿、住宅などが復元されており、当時の生活を垣間見ることができます。

地勢・産業

クサンテンは、オランダ国境に近いライン川沿いに位置しています。古代ローマの遺跡が発掘・復元されており、観光産業が盛んです。近隣都市としては、北西にナイメーヘン、南東にデュースブルクがあります。

ニーベルンゲンの歌との関わり

クサンテンは、中世ドイツの英雄叙事詩『ニーベルンゲンの歌』に登場する英雄ジークフリートの生誕地としても知られています。ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』にも登場します。

姉妹都市

ソールズベリー（イギリス）

クサンテンは、古代ローマの歴史と中世の文化が融合した魅力的な都市です。聖ヴィクトル大聖堂をはじめとする歴史的な建造物や、考古学公園など見どころも多く、歴史好きにはたまらない観光地と言えるでしょう。

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