ヨメナ

ヨメナ（嫁菜）とは

ヨメナ（学名：Aster yomena）は、キク科シオン属の多年草です。道端やあぜ道など、身近な場所で見かける野菊の一種で、古くから日本人に親しまれてきました。春には若芽を食用とすることもできます。

名称の由来

和名「ヨメナ」の由来は、「嫁菜」や「夜目菜」など諸説あり、はっきりとは分かっていません。美しい花を咲かせる様子から「嫁」の名がついたという説や、古くから女性が好んで摘んだためという説があります。

地方によっては、ウハギ、オハギ、ハナギ、ヨメガハギ、ヨメノサイ、カンサイヨメナなどの別名で呼ばれています。

分布

ヨメナは、日本の本州（中部地方以西）、四国、九州に分布しています。また、中国の一部にも帰化しているようです。道端やあぜ道、土手などに群生し、やや湿った場所を好みます。

特徴

ヨメナは、一般に野菊と呼ばれる植物の代表的な一種で、秋に薄紫または白い菊の花を咲かせます。地下茎を長く伸ばして繁殖し、小さな群落を作ります。

草丈: 30 - 100cm
葉: 卵状楕円形で、縁には浅い鋸歯がある。色は深緑で、つやは少ない。
花期: 7 - 10月
花: 茎の先端に薄紫色の頭状花をつける。外側に白い舌状花、内側に黄色い管状花が密生する。
種子: タンポポのような冠毛はなく、タイル状の外見。

染色体数は2n=63で、オオユウガギクとコヨメナの交配によって生まれたと考えられています。

利用

ヨメナは、春の若芽を食用とします。3 - 5月ごろに、5 - 6cmに伸びた若芽を摘み、茹でておひたしや和え物、炒め物、煮浸しなどにして食べます。キク科特有の香りと味が特徴で、シュンギクに似た風味があります。また、秋には花を天ぷらにして楽しむこともできます。

近縁種

ヨメナ属の植物は、東アジアに約10種、日本には6種が知られています。日本のヨメナ属の植物は、オオバヨメナを除いてよく似ています。

オオユウガギク: ヨメナより一回り大きく、葉はやや深く切れ込む。
カントウヨメナ: ヨメナに似るが、より小型で、葉がやや薄く、切れ込みが深い。
ユウガギク: ヨメナに似るが、より小型で、葉は薄く、大きく裂けることがある。
コヨメナ: ヨメナに似るが全体に小型で、背丈はせいぜい50cm。
オオバヨメナ: 山林に生育し、花はやや小さい。葉がハート形をしている。

類似の植物

ヨメナとよく似た植物として、ノコンギクが挙げられます。見分け方としては、ヨメナの花序は基部で分枝し、個々の花の柄が長いのが特徴です。また、ヨメナの葉はほとんど無毛ですが、ノコンギクには細かい毛があります。種子の冠毛の有無も区別のポイントで、ヨメナには冠毛がありませんが、ノコンギクには立派な冠毛があります。

分類

かつてはヨメナ属に分類されていましたが、近年ではシオン属にまとめられる考え方が主流になりつつあります。

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