シュンギク
シュンギク（春菊）の詳細解説
シュンギク（春菊、学名: Glebionis coronaria）は、キク科シュンギク属に分類される一年草の植物です。地中海沿岸を原産とし、ヨーロッパでは観賞用として栽培されることが多いですが、日本、中国、韓国などの東アジア地域では、独特の香りと風味を持つ若い茎葉が食用として広く利用されています。
シュンギクの品種
シュンギクは、葉の形や切れ込みの深さによって、大きく分けて大葉種、中葉種、小葉種に分類されます。
大葉種
葉の切れ込みが浅く、丸みを帯びた形が特徴です。葉が肉厚で柔らかく、香りは比較的穏やかです。主に西日本で栽培され、「菊菜」とも呼ばれます。
中葉種
葉の切れ込みが中程度で、香りが強いのが特徴です。東日本で多く栽培され、鍋料理によく使われます。
中大葉種
大葉種と中葉種の中間の特徴を持ち、葉の切れ込みが浅いものから深いものまで様々です。
- - 大和きくな: 奈良県で栽培される大和野菜の一つで、香りが良いとされています。
小葉種
葉の切れ込みが深く、香りが強いですが、収量が少ないため、あまり栽培されていません。
シュンギクの栽培
シュンギクは比較的育てやすい野菜ですが、栽培にはいくつかのポイントがあります。
種まき
- - 春まき: 3月から5月に種をまき、初夏に収穫します。ただし、春まきは薹立ちしやすいため、注意が必要です。
- - 秋まき: 9月下旬から10月に種をまき、晩秋から早春にかけて収穫します。秋まきの方が栽培しやすいとされています。
栽培環境
- - 土壌: pH 6.0 - 6.5の弱酸性の土壌が適しています。
- - 発芽適温: 15 - 20℃
- - 栽培適温: 15 - 20℃
栽培方法
1. 畝作り: 畑に畝を作り、中央に浅い溝を作ります。
2. 種まき: 種は好光性なので、薄く覆土します。発芽までは乾燥させないように注意します。
3. 間引き: 本葉が1-2枚の頃に3cm間隔、3-4枚の頃に6cm間隔、8-10cmの頃に10-20cm間隔に間引きます。
4. 追肥: 2週間に1回程度、追肥を与えます。
5. 収穫: 草丈が12-15cmになったら、下の葉を4-5枚残して摘み取ります。残った株からわき芽が出てくるので、継続して収穫できます。
病害虫対策
シュンギクは比較的病害虫が少ないですが、ヨトウムシ、アブラムシ、ハモグリバエなどがつくことがあります。また、炭そ病やベと病にも注意が必要です。
シュンギクの生産
日本では、茨城県、群馬県、千[[葉県]]、大阪府、福岡県などが主な生産地です。大阪府が作付面積と出荷量で1位を誇ります。
しかし、近年では収穫量、作付面積ともに減少傾向にあります。
シュンギクの食用
シュンギクは、特有の香りと風味が特徴で、主に葉と茎を食用とします。
調理法
- - 鍋物: すき焼き、ふぐ鍋など、冬の鍋料理には欠かせない食材です。
- - サラダ: 柔らかい葉先は生食も可能です。
- - 和え物: さっと茹でてから和え物にすると美味しいです。
- - 天ぷら: 関東では「春菊天」が定番メニューです。
- - 炒め物: 中国では炒め物にも使われます。
旬
旬は冬場で、11月から3月頃です。葉の色が濃く、みずみずしいものを選ぶと良いでしょう。
シュンギクの栄養
シュンギクは栄養価が非常に高い野菜です。
- - β-カロテン: ホウレンソウよりも多く含まれており、体内でビタミンAに変換され、目の健康や粘膜を丈夫に保つ働きがあります。
- - ビタミンC: 皮膚を健康に保ち、体のストレス耐性を高める働きがあります。
- - ビタミンB群: 糖質、脂質、タンパク質の代謝を助けます。
- - カルシウム: 牛乳と同等以上の含有量を誇り、骨や歯の健康維持に貢献します。
- - リモネン: 特有の香り成分で、整腸作用、食欲増進、咳止めに効果的です。
シュンギクの保存
湿らせたキッチンペーパーで根元を包み、ポリ袋に入れて冷蔵保存します。ビタミンCは収穫後急速に減少するため、早めに食べきるのがおすすめです。
シュンギクの観賞
ヨーロッパでは、シュンギクは食用ではなく、観賞用の花として栽培されています。日本でもあまり知られていませんが、黄色い花を咲かせます。ただし、観賞用のハナワギクは有毒なので、食用にはできません。
まとめ
シュンギクは、独特の香りと豊富な栄養価を持つ、日本の食卓には欠かせない野菜の一つです。この記事を参考に、シュンギクを様々な料理で楽しんでみてください。
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