ヨーゼフ・ヴァイグル

ヨーゼフ・ヴァイグル（Joseph Weigl）は、1766年3月28日に生まれ、1846年2月3日に世を去ったオーストリアの作曲家、そして指揮者です。

生涯

ヴァイグルは、1766年、チェリストであった父ヨゼフ・フランツ・ヴァイグルの息子として、オーストリアのアイゼンシュタットに生を受けました。父ヨゼフ・フランツ（1740-1820）は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンと同じく、著名なエステルハージ家に仕えた音楽家でした。

若い頃、ヴァイグルは音楽の都ウィーンで研鑽を積みました。ここでは、高名なアントニオ・サリエリとヨハン・ゲオルク・アルブレヒツベルガーに師事し、作曲や音楽理論について深く学びました。

彼の創作活動は比較的早くから実を結び始めました。1783年には最初のオペラ『取り越し苦労、または裏切られた悪意』を作曲し、初演時には、彼の才能を認めたサリエリから高い評価と激励を受けたと言われています。

ヴァイグルのキャリアにおいて特筆すべきは、ウィーンの重要な音楽機関での活躍です。1790年にはウィーン宮廷劇場の楽長という要職に就任しました。その後は1827年から1838年にかけて、主に同劇場の副楽長を担いました。音楽界での長年の貢献を経て、翌1839年に公職から退きました。

公務から退いた後は、ウィーンで静かな晩年を過ごしました。そして1846年2月3日、79年の生涯を閉じました。

ヴァイグルはその生涯で非常に多作であり、34曲にも及ぶオペラを創作しました。しかし、残念ながら現代において彼の作品が上演される機会は極めて少なく、ほとんど知られていません。例外として、1809年に成功を収めたオペラ『スイス人の一家』のみが、比較的今日でもその名を知られています。

作品

ヴァイグルの作品の中心はオペラとジングシュピールですが、その他のジャンルにも多くの作品を残しています。

オペラ、ジングシュピール

生涯で34曲のオペラを作曲しました。主な作品は以下の通りです。

• - 取り越し苦労、または裏切られた悪意 (1783)
• - La sposa collerica (1786)
• - Il pazzo per forza (1788)
• - La caffettiera bizzarra (1790)
• - Der Strazzensammler oder Ein gutes Herz ziert jeden Stand (1792)
• - La principessa d’Amalfi (1794)
• - Das Petermännchen 1. und 2. Teil (1794)
• - Giulietta e Pierotto (1794)
• - I solitari (1797)
• - 船乗りの恋、あるいは海賊 (L’amor marinaro ossia Il corsaro) (1797): この作品中のアリア「仕事の前に」(Pria ch'io l'impegno)の主題は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが自身のピアノ三重奏曲第4番の第3楽章に変奏曲の主題として用いています。
• - 山の村 (1798)
• - L’accademia del maestro Cisolfaut (1798)
• - L’uniforme (1800), または Die Uniform (1805)
• - ヴェスタの火 (1805)
• - Il principe invisibile (1806)
• - Kaiser Hadrian (1807)
• - Adrian von Ostade (1807)
• - クレオパトラ (1807)
• - Il rivale di se stesso (1808)
• - 児童養護施設 (1808)
• - スイス人の一家 (1809)
• - アルプスの隠者 (1810)
• - Die Verwandlungen (1810)
• - Franziska von Foix (1812)
• - 地滑り (1813)
• - Die Jugend Peter des Großen (1814)
• - L’imboscata (1815)
• - Margaritta d’Anjou ossia L’orfana d’Inghilterra (1819)
• - ナイチンゲールとカラス (1818)
• - Daniel in der Löwengrube oder Baals Sturz (1820)
• - ヴァルデマル王、またはデンマークの漁師 (1821)
• - エドモンド、またはキャロライン (1821)
• - 鉄の門 (1823)

その他の作品

オペラ以外にも、ヴァイグルは多岐にわたるジャンルで作曲を行いました。バレエ音楽を18曲残したほか、協奏曲、様々な舞曲、チェンバロのための作品、カンタータ、そして宗教的な楽曲なども手掛けています。

もう一度検索