ヨーラム・グローバス

ヨーラム・グローバス：国際的な映画プロデューサーの軌跡

ヨーラム・グローバス（1941年生まれ）は、イスラエルで活躍した著名な映画プロデューサーです。彼のキャリアは、イスラエル映画界での成功から始まり、ハリウッドを舞台にした大規模な映画制作へと発展していきました。その過程で、彼は映画史に大きな足跡を残しました。

イスラエルでのキャリアとキャノン・フィルムズの買収

グローバスは、現在のイスラエルである英領パレスチナのティベリアで生まれました。著名な映画監督、メナヘム・ゴーランは彼の従兄にあたります。この血縁関係が、後のグローバスのキャリアに大きな影響を与えることになります。

彼はイスラエルの映画会社ノア・フィルムズに入社し、若くしてプロデューサーとしての経験を積みました。ゴーラン監督作品のプロデュースに携わった経験が、彼の才能を磨いたのです。1978年には、ボアズ・デヴィッドソン監督の『グローイング・アップ』をプロデュースし、世界的な成功を収めました。この作品はグローバルな舞台への足掛かりとなり、後の活動に繋がる重要な作品となりました。

その後、グローバスは人生を変える決断をします。彼は従兄のゴーランと共に、キャノン・フィルムズを買収したのです。この買収劇は、映画業界に大きな衝撃を与えました。

キャノン・フィルムズ時代と急成長

キャノン・フィルムズは、グローバスとゴーランの手によって変貌を遂げました。彼らは、短期間での撮影と低予算を特徴とする独自の映画制作スタイルを確立し、大量の映画を製作しました。この大胆な戦略は、1980年代にキャノン・フィルムズを急成長へと導きました。アクション映画からドラマ、そして芸術性の高い作品まで、幅広いジャンルの映画を制作し、多くの作品が世界中で人気を博しました。

しかし、この急成長は、持続可能なものではありませんでした。キャノン・フィルムズは1993年に閉鎖されました。短期間での大量生産という戦略は、質の低下を招き、最終的には経営上の問題を引き起こしたのです。それでも、キャノン・フィルムズは1980年代の映画界に大きな影響を与えたことは間違いありません。

代表的な作品

グローバスが関わった作品は数多く存在し、その中には多くのスター俳優が出演しています。代表的な作品として、以下のようなものが挙げられます。

1970年代:
『暗黒街の顔役』(1974) トニー・カーティス主演
『MR.ダイヤモンド』(1975) ロバート・ショウ主演
『グローイング・アップ』(1978) イフタク・カツール主演（世界的なヒット作）

1980年代:
『燃えよNINJA』(1981) フランコ・ネロ主演
『ロサンゼルス』(1982) チャールズ・ブロンソン主演
『サハラ』(1983) ブルック・シールズ主演
『ラヴ・ストリームス』(1983) ジーナ・ローランズ主演
『ニンジャII / 修羅ノ章』(1983) ショー・コスギ主演
『デルタ・フォース』(1985) チャック・ノリス主演
『オーバー・ザ・トップ』(1986) シルヴェスター・スタローン主演
『コブラ』(1986) シルヴェスター・スタローン主演
『スーパーマンIV / 最強の敵』(1987) クリストファー・リーヴ主演
『ブラッド・スポーツ』(1987) ジャン＝クロード・ヴァン・ダム主演
『サイボーグ』(1989) ジャン＝クロード・ヴァン・ダム主演

これらの作品は、グローバスのプロデュース能力の高さを証明しています。また、これらの映画が、当時の映画トレンドを反映している点も興味深いです。

受賞歴とその後

1984年には、エルサレム国際映画祭生涯業績賞を受賞しました。これは、彼の映画界における貢献が認められた証です。キャノン・フィルムズ閉鎖後も、彼は映画業界で活動を続けてきました。

ヨーラム・グローバスは、映画史に大きな影響を与えた人物の一人です。彼のキャリアは、才能とリスクを伴う決断、そして時代の流れを見極める能力を兼ね備えた、真のプロデューサーの姿を示しています。彼の功績は、これからも映画界に語り継がれていくでしょう。

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