ヨーロッパヤマカガシ

ヨーロッパヤマカガシ（Natrix natrix）について

ヨーロッパヤマカガシは、爬虫類の中でも特に注目されるヘビの一種であり、ナミヘビ科に属しています。この種はユウダ属の模式種でもあり、特にその広範な分布範囲と独特の外見から多くの人々に親しまれています。

分布

ヨーロッパヤマカガシは、ドイツやスカンディナビア半島の中部、オランダの東側を含む広い地域に分布しています。また、中東や中央アジア、シベリアの南部にも生息していることが確認されています。これにより、さまざまな環境に適応して生活する能力を持つことが分かります。

形態

このヘビの平均的な全長は約120センチメートルですが、最大では200センチメートルに達する個体も存在します。体色には個体間で大きな変異があり、褐色や緑褐色、暗緑色、灰色、さらには黒の個体も見られます。体側面には特徴的な黒い横縞があり、後頭部から頸部の側面には黒く縁取られた黄色い斑紋が確認できますが、稀に白や橙色の個体も存在します。

分類

この種は以下のようにいくつかの亜種に分類されています（Uetz et al., 2017に基づく）：

• - Natrix natrix natrix (Linnaeus, 1758)
• - Natrix natrix algirus (Sochurek, 1979)
• - Natrix natrix astreptophora (Seoane, 1885)
• - Natrix natrix calabra (Vanni & Lanza, 1983) - イタリア（カラバリア）
• - Natrix natrix cetti (Gene, 1838) - イタリア
• - Natrix natrix corsa (Hecht, 1930) - コルシカ島
• - Natrix natrix cypriaca (Hecht, 1930) - キプロス
• - Natrix natrix fusca (Cattaneo, 1990)
• - Natrix natrix gotlandica (Nilson & Andrén, 1981)
• - Natrix natrix helvetica (Lacépède, 1789)
• - Natrix natrix lanzai (Kramer, 1971)
• - Natrix natrix persa (Pallas, 1814)
• - Natrix natrix schweizeri (L. Müller, 1932) - ギリシャ
• - Natrix natrix scutata (Pallas, 1771)
• - Natrix natrix sicula (Cuvier, 1829)
• - Natrix natrix syriaca (Hecht, 1930)

生態

ヨーロッパヤマカガシは、水辺や湿地、河川、湖、池沼といった湿った環境を好んで生活します。主に昼行性であり、泳ぎが得意で水面に頭を出して泳ぐ姿が観察されます。万が一危険を感じると、擬死行動を取ることが知られています。

興味深いことに、「ヤマカガシ」という名がついていますが、日本に生息するヤマカガシとは違い、毒を持っていません。主食としてはカエルを好みますが、他にも両生類や鳥、小型の哺乳類を捕食することもあります。また、繁殖は卵生であり、一度の産卵で8から40個の卵を産むことができ、繁殖に適した場所では複数の雌が一緒に卵を産むこともあります。

人間との関係

この種のヘビはペットとして飼われることもあり、日本にも輸入されていますが、その流通量はごくわずかです。また、N. n. cettiおよびN. n. schweizeriはIUCNレッドリストで「危急種」に指定されています。

このように、ヨーロッパヤマカガシは多様な特徴を持ち、生態系において重要な役割を果たしている一方で、その繁殖や生息環境が脅かされることのないよう保護されることが求められています。

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