ライディング・ウィズ・ザ・キング

ライディング・ウィズ・ザ・キング

『ライディング・ウィズ・ザ・キング』（Riding with the King）は、2000年に世に送り出された、ギターの神様として知られるエリック・クラプトンと、ブルース界の至宝B.B.キングという、世代を超えた二人のレジェンドが初めて本格的にタッグを組んだ歴史的なコラボレーション・アルバムです。クラプトンが長年所属するレーベル、リプリーズ・レコードからリリースされました。

アルバム概要

このアルバムは、長年にわたり互いを深くリスペクトし合ってきたクラプトンとB.B.キングが、満を持して実現させた共同制作プロジェクトです。ベテランならではの円熟したプレイと、若々しい情熱が融合したサウンドが特徴です。二人のボーカルとギターが織りなす対話は、聴く者をブルースの奥深い世界へと誘います。

制作の背景と参加ミュージシャン

レコーディング・セッションは、極めてリラックスした雰囲気の中で行われたと伝えられています。二人の巨匠をサポートするために集結したのは、クラプトンの当時のツアー・バンドの精鋭たちに加え、テキサス・ブルースの重鎮であるジミー・ヴォーン（偉大なスティーヴィー・レイ・ヴォーンの実兄）といった豪華な顔ぶれです。彼らの盤石な演奏が、アルバム全体のクオリティを一層高めています。

収録曲

収録曲は、B.B.キングのキャリアを代表する数々の名曲のセルフカバーを中心に、ブルースのスタンダード、そしてサム＆デイヴのソウル・クラシック「ホールド・オン、アイム・カミング」のような意外性のあるカバーまで多岐にわたります。これらの楽曲が、二人の個性的な解釈によって新たな生命を吹き込まれています。

ライディング・ウィズ・ザ・キング (John Hiatt)
テン・ロング・イヤーズ (B. B. King, Taub)
キー・トゥ・ザ・ハイウェイ (Big Bill Broonzy, Charles Segar)
マリー・ユー (Doyle Bramhall II, Susannah Melvoin, Craig Ross, Charles Segar)
スリー・オクロック・ブルース (King, Taub)
ヘルプ・ザ・プアー (Charles Singleton)
アイ・ウォナ・ビー (D. Bramhall, Charlie Sexton)
ウォリード・ライフ・ブルース (Big Maceo Merriweather)
デイズ・オブ・オールド (Jules Bihari, King)
ホウェン・マイ・ハート・ビーツ・ライク・ア・ハマー (King, Taub)
ホールド・オン・アイム・カミング (Isaac Hayes, David Porter)
カム・レイン・オア・カム シャイン (Harold Arlen, Johnny Mercer)

受賞と評価

このアルバムは批評家からも高く評価され、商業的にも成功を収めました。特に、リリース翌年の2001年には、グラミー賞の「ベスト・トラディショナル・ブルース・アルバム」部門において栄えある賞を受賞しました。これは、B.B.キングにとっては前年のアルバム『ブルース・オン・ザ・バイユー』に続く同部門での受賞であり、彼にとって初の2年連続グラミー受賞という快挙達成の瞬間でもありました。

レコーディング・メンバー

この歴史的なセッションを支えたミュージシャンは以下の通りです。

エリック・クラプトン - ボーカル, ギター
B.B.キング - ボーカル, ギター
ドイル・ブラムホール II - ギター, バック・ボーカル
アンディ・フェアウェザー・ロウ - ギター
ジミー・ヴォーン - ギター
ジョー・サンプル - ピアノ, ワーリッツァー・ピアノ
ティム・カーモン - オルガン
ネイザン・イースト - ベース
スティーヴ・ガッド - ドラムス
ポール・ウォラー - プログラミング
スザンナ・メルヴォワン - バック・ボーカル
ウェンディ・メルヴォワン - バック・ボーカル

アルバムの意義

『ライディング・ウィズ・ザ・キング』は、単なるコラボレーションにとどまらず、ブルースという音楽ジャンルの世代を超えた絆と、その普遍的な魅力を改めて世界に知らしめた作品と言えるでしょう。二人の巨匠が共に奏でる音色は、今なお多くの音楽ファンを魅了し続けています。

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