ライト ワールウィンド

ライト ワールウィンドシリーズ

ライト ワールウィンド（Wright Whirlwind）は、1920年代から1930年代にかけてアメリカのライト社が手がけた航空用エンジンのシリーズを指します。このエンジンは、特に小型機に特化して設計され、その性能と信頼性で多くの航空機に搭載されました。品種は多岐にわたりますが、いくつかの代表的なモデルについてご紹介します。

開発履歴

ワールウィンドシリーズの始まりは1923年に遡ります。最初に開発されたモデルはR-790で、アメリカにおける固定式星型エンジンとしては初のもので、出力は約200馬力でした。星型エンジン形式は、その構造上高い出力を維持できることが特徴であり、このR-790はその先駆けとなりました。

その後、1928年に登場したR-540は5気筒で、出力は165から175馬力に達しました。このモデルは、より軽量な航空機に適したエンジンとして広く認識されました。また同じ年に、より強力なR-760（7気筒、225から350馬力）およびR-975（9気筒、300から450馬力）が開発されました。これらのエンジンは、いずれもR-790と同じサイズのピストンとシリンダーを使用しており、互換性を持たせる工夫がなされていました。

高出力エンジンの開発

1930年代に入ると、航空機の性能向上が求められるようになり、より高出力のエンジンも必要とされるようになります。その結果、1933年にR-1510（14気筒、600馬力）、1934年にはR-1670（14気筒、800馬力）といった二重星型エンジンが試作されました。これらのエンジンは、従来の単列星型エンジンよりもさらなる出力を目指したものでしたが、残念ながら量産には至りませんでした。この経験から、最終的に世に出たワールウィンドシリーズは全て単列星型エンジンに留まりました。

各モデルの概要

以下に、各モデルの詳細なスペックをまとめます。

• - R-790

- 星型9気筒
- 出力: 200 - 220 hp

• - R-540

- 星型5気筒
- 出力: 165 - 175 hp

• - R-760

- 星型7気筒
- 出力: 225 - 350 hp

• - R-975

- 星型9気筒
- 出力: 300 - 450 hp

• - R-1510

- 二重星型14気筒（試作のみ）
- 出力: 600 hp

• - R-1670

- 二重星型14気筒（試作のみ）
- 出力: 800 hp

まとめ

ライト ワールウィンドは、当時の航空機技術に大きく貢献したエンジンシリーズと言えます。その構造と設計は、航空機の性能を向上させるための重要な要素をもたらしました。特に単列星型エンジンは、小型機においては非常に効果的であり、数多くの航空機に装備され、歴史に名を刻むこととなりました。

もう一度検索