ライムギ属

ライムギ属（Secale）

ライムギ属はイネ目に属するイネ科の植物群で、その学名は「Secale」です。この属には主にライムギが含まれ、他にもいくつかの種が存在します。ライムギ属の植物は、多年生または一年生の草本植物で、典型的にはその高さは約25センチメートルから120センチメートルまで成長します。

特徴

ライムギ属の特徴的な点は、その小穂に見られる構造で、各小穂には2つの小花がついています。この構造はオオムギとは異なり、各一穂節ごとに一つの小穂が見られる特徴があります。以前、この属に含まれていた種の一部は、より多くの花を持つことからEremopyrum属やDasypyrum属に移動されました。

全てのライムギ属の種は14本の染色体を持ち、そのゲノムは「R」と表現されています。研究によると、6回の大きな染色体転座、コムギ属との交雑、そして遺伝子重複が、種分化やゲノムの進化を導いてきたと考えられています。特に、ライムギ属はコムギ属やオオムギ属と共通の祖先を持ち、これらとはそれぞれ約960万年前、1500万年前に系統が分かれました。

分類の難しさ

ライムギ属の分類は、栽培種と野生種の中間的な特性を持つ一年生雑草品種や、多数の多年生野生品種が存在することから非常に複雑です。これまでにいくつかの分類が提案されてきましたが、1998年に発表された分類が広く受け入れられています。この分類では、2倍体種としてS. cereale（ライムギ）、S. strictum、S. sylvestreの3種が含まれています。

主要種の説明

• - S. sylvestre: 本種はライムギ属の中でも最も古くに分化した野生種であり、一年生の特性を持っています。栽培種との交雑は困難です。
• - S. strictum: こちらは多年生の野生種で、2つの亜種が存在します。この種は特に乾燥した環境に適応しています。
• - S. cereale: 最もよく知られた種であるライムギは、一年生の栽培亜種（S. cereale ssp. cereale）と、その祖先品種である雑草亜種（S. cereale ssp. ancestrale）の両方を含みます。

下位分類

以下はFrederiksenとPetersenによる1998年の下位分類に基づくものです。

1. Secale Strictum C. Presl – シノニムにTriticum strictum C. PreslやSecale montanum Guss.がある。
- 亜種:
- S. Strictum ssp. Strictum
- S. Strictum ssp. Africanum (Stapf) K. Hammer

2. Secale sylvestre Host – シノニムにTriticum silvestre (Host) Asch. & Graebnが含まれる。

3. Secale cereale L. – ライムギの学名。以下の亜種を持つ。
- 亜種:
- Secale cereale spp. Cereale
- Secale cereale spp. Ancestrale Zhuk.

さらに、WFO Plant Listによる分類では、以下の種があるとされています。

• - Secale africanum Stapf
• - Secale anatolicum Boiss.
• - Secale ciliatiglume (Boiss.) Grossh.
• - Secale iranicum Kobyl.
• - Secale segetale (Zhuk.) Roshev.
• - Secale strictum (C.Presl) C.Presl
• - Secale sylvestre Host
• - Secale vavilovii Grossh.

このように、ライムギ属はその複雑な系統樹と進化の歴史を持ち、様々な特徴が交錯する興味深い植物グループです。

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