ライン川左岸線

ライン川左岸線：風光明媚なドイツを走る鉄路

ライン川左岸線は、ドイツのケルンからライン川沿いを南下し、ボン、コブレンツ、ビンゲンを経てマインツに至る、全長約185kmの鉄道路線です。その美しい景観から、ドイツを代表する観光路線のひとつとして知られています。

歴史

現在のライン川左岸線は、もともと3つの異なる鉄道会社によって建設された区間が統合されたものです。

ボン・ケルン間: 1844年にボン・ケルン鉄道会社によって開業。
ケルン以南: ライン地方鉄道会社が路線の延伸を進め、1859年にはケルン中央駅への乗り入れと、コブレンツ-マインツ間の渓谷区間が開通。
ビンゲン - マインツ間: ヘッセ・ルートヴィヒ鉄道が建設した路線の一部として1859年に開通。

これらの路線が繋がり、ケルンとマインツを結ぶライン川左岸線が完成しました。

路線概況

ライン川左岸線は複線で、1959年に電化されています。かつてはドイツ西部の南北を結ぶ主要幹線として、ルール地方と南ドイツを結ぶインターシティが頻繁に運行されていました。しかし、ケルン-ライン＝マイン高速線の開通後は、高速輸送の役割を譲り、現在は地域輸送と観光輸送が中心となっています。

路線のうち、ケルン-コブレンツ間とビンゲン-マインツ間は最高速度160km/hに対応していますが、コブレンツ-ビンゲン間はライン川に沿って蛇行する区間が続き、地形も急峻であるため、高速化が困難です。この区間は路線のボトルネックとなっており、高速新線の建設によってその解消が図られました。

現在、この路線ではDBレギオや私鉄のトランスレギオ社が地域輸送列車を運行しており、ケルン - レマーゲン間ではドイツ鉄道による普通列車も利用できます。また、貨物列車の運行も増加傾向にあります。

沿線風景

ライン川左岸線の最大の魅力は、その風光明媚な景観です。特に、ビンゲン - コブレンツ間の渓谷は、2002年にユネスコの世界文化遺産に登録されています。

車窓からは、対岸の山々にそびえ立つ古城群や、伝説で知られるローレライの岩山、そして狭い谷の斜面に広がる森林やブドウ畑を望むことができます。これらの美しい景観は、旅行者を魅了し続けています。

運行形態

ライン川左岸線では、以下の列車が運行されています。

長距離輸送:
ICE（一部）
IC/EC
これらの列車は、ドイツ国内の主要都市を結び、観光客やビジネス客に利用されています。
地域輸送:
RE（快速列車）: コブレンツ - マインツ - フランクフルト間などを結びます。
MRR（普通列車）: ケルン - マインツ間を結び、地域住民の足として利用されています。
RB（普通列車）: ヴッパタール - ボン間などを結びます。

ライン川左岸線は、ドイツの美しい景観を楽しみながら移動できる、魅力的な鉄道路線です。機会があれば、ぜひ乗車してみてはいかがでしょうか。

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