ライン川戦役 (1748年)

1748年ライン川戦役：オーストリア継承戦争におけるロシアの介入

1748年ライン川戦役は、オーストリア継承戦争における一幕であり、ロシア帝国の介入が和平交渉に影響を与えたことで知られています。以下に、その背景、戦役の経緯、そしてその影響について詳細に解説します。

背景

1746年初頭、サンクトペテルブルクではオーストリアとロシアの防衛同盟に関する協議が進められていました。同年5月末には25年間の条約が締結され、秘密条項ではプロイセン王国とオスマン帝国に対抗するための協力が合意されました。プロイセン王フリードリヒ2世の奇襲を防ぐため、ロシアはリヴォニアに軍を駐留させ、有事の際にはサンクトペテルブルクからの命令で迅速にケーニヒスベルクへ進軍できる体制を整えました。

一方、フランス軍はモーリス・ド・サックス元帥の指揮下、1746年と1747年にオーストリア領ネーデルラントで連勝を重ねていました。これに対し、オーストリアの支援を受けたロシアとグレートブリテン王国は二つの条約を締結し、ロシアはグレートブリテンとネーデルラント連邦共和国に対し、対仏軍勢3万を編成するための資金援助を約束しました。

戦役の経緯

1748年春、オーストリアとロシアの条約が発効し、ヴァシーリー・アニキーチチ・レプーニン率いる3万のロシア軍がリヴォニアからボヘミア、バイエルン選帝侯領を経由してライン川へ進軍し、マリア・テレジアを支援しようとしました。しかし、ロシア軍がドイツを通過中の5月7日、サックス元帥がマーストリヒトを陥落させ、フランドルにおけるイギリスとオランダの最後の拠点が失われました。レプーニン率いるロシア軍がライン川に到着した時には、すでに手遅れの状態でした。

戦役の影響

しかし、この戦役は全く無意味だったわけではありません。フランス軍が3年間連勝を続けたにもかかわらず、アーヘンの和約に同意したのは、ロシア軍がライン川に到着したという脅威が一因となりました。ロシアの介入は、フランスに和平交渉に応じるよう圧力をかけ、最終的にオーストリア継承戦争の終結に貢献したと考えられます。

まとめ

1748年ライン川戦役は、直接的な軍事衝突は少なかったものの、ロシア帝国の存在感がヨーロッパのパワーバランスに影響を与えた事例として注目されます。ロシア軍のライン川への進軍は、フランスに和平を意識させ、アーヘンの和約締結を後押ししたと言えるでしょう。

参考文献：
* Yu Yu Nenakhov, "Войны и кампании Фридриха Великого" ("War and the campaigns of Frederick the Great") - Minsk, "Харвест" ("Harvest"), 2002. ISBN 985-13-0659-2

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