ライヴ・ライミン

ライヴ・ライミン

『ライヴ・ライミン』（原題: Paul Simon in Concert: Live Rhymin') は、シンガーソングライター、ポール・サイモンによって1974年にリリースされたライブ・アルバムです。彼のソロキャリア初期における重要な作品の一つとして位置づけられています。

制作背景と収録音源

本作に収められている音源は、1973年から1974年にかけて行われたサイモンの精力的なツアーの中から収録されました。具体的には、インディアナ州にあるノートルダム大学と、ニューヨークの有名なコンサートホールであるカーネギー・ホールでのパフォーマンスが用いられています。これらの会場でのライブ録音からベストテイクが選ばれ、一枚のアルバムとしてまとめられました。

演奏スタイルと共演者

アルバム全体を通して、ポール・サイモンの多様な音楽性が披露されています。一部の楽曲では彼一人の弾き語りによる親密な演奏が聴かれますが、多くのトラックでは様々な共演者とのコラボレーションがフィーチャーされています。特に注目すべきは、フォルクローレ・グループであるウルバンバと、ゴスペルグループのジェシー・ディクソン・シンガーズの参加です。ウルバンバは、有名な「コンドルは飛んで行く」の演奏でも知られるロス・インカスのメンバー、ホルヘ・ミルチベルグを中心に1972年に結成されたグループであり、彼らの演奏がサイモンの楽曲にエキゾチックな彩りを加えています。一方、ジェシー・ディクソン・シンガーズは、そのパワフルなゴスペルハーモニーで楽曲に深みと感動をもたらしています。これらの共演により、シンプルな弾き語りから、エスニックなサウンド、荘厳なゴスペルコーラスまで、幅広い音楽的アプローチが本作で楽しめます。

アルバムのクレジット

本作の制作には、著名なエンジニアたちが関わっています。録音エンジニアはフィル・ラモーン、デヴィッド・グリーン、リチャード・ブレイキンが担当し、ライブの臨場感を捉えることに貢献しました。アルバムのジャケット写真はジャネット・ヴィンセントが手掛けています。

チャート成績

1974年4月13日の発売後、『ライヴ・ライミン』は各国で好セールスを記録しました。主要な国のアルバムチャートでは以下の順位を獲得しています。

アメリカ合衆国：最高33位
カナダ：最高27位
ノルウェー：最高19位
日本：最高9位

ソロキャリア初期のライブ盤として、商業的にも成功を収めた作品となりました。

収録曲

本作には、サイモン＆ガーファンクル時代の代表曲から、ソロ転向後の楽曲まで、当時のサイモンの主要なレパートリーが網羅されています。（特記なき楽曲はポール・サイモン作詞・作曲）

Side 1

1. 母と子の絆 (Mother and Child Reunion) - 2:47
2. 早く家へ帰りたい (Homeward Bound) - 2:45
3. アメリカの歌 (American Tune) - 3:58
4. ダンカンの歌 (Duncan) - 4:08
5. コンドルは飛んで行く (El Condor Pasa) (Daniel Alomía Robles 作曲) - 5:11
6. ボクサー (The Boxer) - 6:11

Side 2

1. 僕とフリオと校庭で (Me and Julio Down by the Schoolyard) - 4:00
2. サウンド・オブ・サイレンス (The Sound of Silence) - 4:27
3. ジーザス・イズ・ジ・アンサー (Jesus Is the Answer) (Andraé Crouch 作曲) - 3:28
4. 明日に架ける橋 (Bridge Over Troubled Water) - 7:10
5. 母からの愛のように (Loves Me Like a Rock) - 3:16
6. アメリカ (America) - 4:35

2011年再発盤ボーナストラック

1. 僕のコダクローム (Kodachrome) - 2:55
2. 何かがうまく (Something So Right) - 4:34

特に「コンドルは飛んで行く」はダニエル・アロミア・ロブレスによる楽曲にサイモンが歌詞をつけたものであり、「ジーザス・イズ・ジ・アンサー」はアンドレ・クラウチの楽曲をゴスペルグループと共に披露しています。これらのカバー曲を含むセットリストは、当時のサイモンの音楽的関心の広がりを示しています。また、「明日に架ける橋」の演奏時間は7分を超え、ライブならではの壮大なアレンジで聴衆を魅了した様子が伝わります。

本作は、ポール・サイモンのキャリアにおける重要なライブ記録であり、彼の卓越したソングライティング能力と、多様なサウンドを取り込む柔軟性を示す作品として、今日でも多くのファンに愛されています。

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