ライヴ&アンリリースド

ウェザー・リポート『ライヴ&アンリリースド』

ウェザー・リポートの『ライヴ&アンリリースド』（Live and Unreleased）は、2002年にリリースされた作品で、その名の通り、これまで公式には発表されることのなかった彼らのライブ録音を収録した特別なアルバムです。この作品に収められた音源は、バンドの活動期間の中でも比較的長いスパンにわたる、1975年11月末から1983年6月上旬にかけてのライブパフォーマンスから選ばれています。

この広範な期間をカバーしていることが、本作の最大の特徴の一つと言えるでしょう。収録されたライブは、時期によって参加しているメンバーが異なります。そのため、アルバム全体を通じて聴くことで、ウェザー・リポートというバンドがいかに進化し、その音楽性が多様なメンバー構成によってどのように変化してきたのかを垣間見ることができます。中心人物であるジョー・ザヴィヌル（キーボード）とウェイン・ショーター（サクソフォーン）はもちろん一貫して参加していますが、彼らを取り巻くリズムセクションは流動的であり、それぞれの時期を代表する名プレイヤーたちの演奏が収録されているのです。

例えば、ベーシストとしては、アルフォンソ・ジョンソン、ジャコ・パストリアス、そしてヴィクター・ベイリーといった名手たちが参加しており、彼らそれぞれがバンドにもたらした個性的なグルーヴやテクニックを聴き比べることができます。ドラマーやパーカッショニストについても同様で、チェスター・トンプソン、アレックス・アクーニャ、ピーター・アースキン、オマー・ハキムといったドラマー陣に加え、マノロ・バドレーナ、ロバート・トーマス・ジュニア、ホセ・ロッシーといったパーカッション奏者が、それぞれの時代のウェザー・リポートサウンドを彩っています。こうした多彩な顔ぶれによる演奏は、バンドのライブバンドとしての力量や、即興性あふれるスリリングなインタープレイの魅力を存分に伝えています。

しかしながら、この作品には聴く上で留意すべき点があります。それは、収録曲の並び順です。残念ながら、アルバムに収録されている楽曲の順序は、必ずしも演奏された日付やライブ会場、さらには参加メンバーといった具体的な情報に基づく時系列に沿ったものではありません。あるトラックから次のトラックへと移る際に、演奏時期やメンバー構成において連続性や関連性がほとんど見られない場合が多く、聴き手は少々戸惑うかもしれません。そのため、どの時期の、どのラインナップによる演奏なのかを曲順から推測することは困難です。

それでもなお、この『ライヴ&アンリリースド』は、ウェザー・リポートという偉大なバンドの、公式には発表されなかったライブパフォーマンスを知る上で非常に価値のある資料と言えます。構成上の課題はあるものの、収録されている個々の演奏は、間違いなく高いレベルにあり、バンドの幅広い音楽性と卓越した演奏技術を証明しています。異なる時代、異なる編成による貴重な音源を一挙に聴くことができるという点において、ファンにとっては見逃せないコレクションと言えるでしょう。ウェザー・リポートのライブにおける真髄に触れたいリスナーにとって、本作は一聴に値する作品です。

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