アルフォンソ・ジョンソン

アメリカを代表するジャズ・ベーシスト、アルフォンソ・ジョンソンは、1951年2月2日にペンシルベニア州フィラデルフィアで誕生しました。1970年代初頭にプロとして音楽活動を開始して以来、その革新的な演奏スタイルでジャズおよびフュージョン界に多大な影響を与え続けています。

ジョンソンは音楽キャリアの初期にはアップライトベースを演奏していましたが、10代後半にはエレクトリックベースへとメイン楽器を移行しました。しかし、コントラバスで培った確かな技術と音楽性は、エレクトリックベースでのプレイに深みを与え、流麗かつ表現豊かな演奏を可能にしました。

多くのジャズミュージシャンとのセッションを経て、彼はフュージョン界の伝説的なバンド、ウェザー・リポートに加入します。これは、初期メンバーであったベーシスト、ミロスラフ・ヴィトウスの後任としての参加でした。ウェザー・リポートでの活動は彼の名声を確立する重要な期間となります。特にアルバム『ミステリアス・トラヴェラー』(1974年)では「Cucumber Slumber」や「Scarlet Woman」といった楽曲でそのプレイを披露。『テイル・スピニン』(1975年)と『ブラック・マーケット』(1976年)にも参加し、バンドのサウンドに貢献しました。

ウェザー・リポート脱退後、ジョンソンはドラマーのビリー・コブハムと共に活動を展開しました。さらに、1976年から1977年にかけては、エピック・レコードから自身のリーダーアルバムを3枚発表しています。『ムーンシャドウズ』、『幻想夢譚 (Yesterday's Dreams)』、『スペルバウンド (Spellbound)』といったこれらの作品では、彼のルーツであるジャズに加え、ファンクやフュージョンの要素を融合させたサウンドを追求しました。

ジョンソンは、革新的な弦楽器であるチャップマン・スティックを早い時期から公に使用した先駆者の一人としても知られています。1977年には、ギタリストのスティーヴ・ハケットが脱退した後のイギリスのプログレッシブ・ロックバンド、ジェネシスから加入を打診されました。このオファーは大きな機会ではありましたが、ジョンソンは自身がギタリストではなくベーシストであるという点を考慮し、友人であり優れたギタリストであったダリル・ステューマーを代わりに推薦しました。ステューマーはその後、長年にわたりジェネシスのツアーバンドのギタリストを務めることになります。

その後もジョンソンは多岐にわたるアーティストの作品やツアーに参加し、その多才なベーシストとしての地位を不動のものにしました。1980年にはフィル・コリンズの記念すべきソロデビューアルバム『夜の囁き (Face Value)』に参加。1982年初頭には、グレイトフル・デッドのボブ・ウェアが率いるサイドプロジェクト「ボビー&ザ・ミッドナイツ」に加わりました。1983年にはジェフリー・オズボーンのヒットアルバム『ステイ・ウィズ・ミー・トゥナイト』に参加し、タイトル曲の大ヒットに貢献。1985年から1989年にかけては、ラテンロックの巨匠サンタナのメンバーとしても活動しました。また、1996年にはスティーヴ・ハケットの『ジェネシス・リヴィジテッド』に参加し、かつて縁のあったジェネシスの楽曲を演奏しています。同年末には、ウェイン・ショーター、ジム・ビアード、ロドニー・ホームズ、デイヴィッド・ギルモアらと共にヨーロッパおよび日本を巡るツアーを行うなど、ジャズ、フュージョン、ロックといったジャンルを超えて活躍の場を広げました。

2000年には、再びボブ・ウェアと合流し、「The Other Ones」のツアーに参加。さらに、ビリー・コブハムと共に「Jazz Is Dead」というバンドで、グレイトフル・デッドの楽曲をジャズ・フュージョンとして再解釈するプロジェクトにも携わりました。

演奏活動の傍ら、ジョンソンは音楽教育にも情熱を注いでいます。2011年秋には、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校の音楽学部で教鞭を執るなど、後進の育成にも尽力しています。

主な使用機材

アルフォンソ・ジョンソンは様々なベースを使い分けてきました。代表的なものとしては、Lobue Custom、Warwick (アルフォンソ・ジョンソン・シグネチャー・フレッテッド＆フレットレス、インフィニティ)、そして5弦のモデュラス（フレッテッド＆フレットレス）といったエレクトリックベースが挙げられます。アコースティックベースではWashburn AB45などを使用しています。

ディスコグラフィ

リーダー・アルバム

『ムーンシャドウズ』 - _Moonshadows_ (1976年、Epic)
『幻想夢譚』 - _Yesterday's Dreams_ (1976年、Epic)
『スペルバウンド』 - _Spellbound_ (1977年、Epic)

主な参加アルバム

エルメート・パスコアール - _Slave Mass_ (1977年)
アブラクサス・プール - _Abraxas Pool_ (1997年)
ロッド・アージェント - _Moving Home_ (1978年)
ビリー・コブハム＝ジョージ・デューク・バンド - _Live on Tour in Europe_ (1976年、Atlantic)
チェット・ベイカー - _You Can't Go Home Again_ (1977年)
ディー・ディー・ブリッジウォーター - _Just Family_ (1977年)
ジョージ・ケイブルス - _Shared Secrets_ (2001年、MuseFX)
フィル・コリンズ - 『夜の囁き』 - _Face Value_ (1981年)
フランク・ギャンバレ - 『パッセージ』 (_Passages_, 1994年)、『シンキング・アウト・ラウド』 (_Thinking Out Loud_, 1995年)
スティーヴ・ハケット - 『ジェネシス・リヴィジテッド』 - _Genesis Revisited_ (1996年)
エディ・ヘンダーソン - 『サンバースト』 - _Sunburst_ (1975年)
ジェフリー・オズボーン - 『ステイ・ウィズ・ミー・トゥナイト』 - _Stay With Me Tonight_ (1983年)
フローラ・プリム - 『オープン・ユア・アイズ・ユー・キャン・フライ』 - _Open Your Eyes You Can Fly_ (1976年)
サンタナ - 『ビヨンド・アピアランス』 (_Beyond Appearances_, 1985年)、『フリーダム』 (_Freedom_, 1987年)、『スピリッツ・ダンシング』 (_Spirits Dancing in the Flesh_, 1990年)
ウェザー・リポート - 『ミステリアス・トラヴェラー』 (_Mysterious Traveller_, 1974年)、『テイル・スピニン』 (_Tale Spinnin'_, 1975年)、『ブラック・マーケット』 (_Black Market_, 1976年)
* ボブ・ウェア - 『ボビー&ザ・ミッドナイツ』 (_Bobby and the Midnites_, 1981年)、_Where the Beat Meets the Street_ (1984年)

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