ライヴ1969

ライヴ1969

『ライヴ1969』は、不朽のデュオ、サイモン＆ガーファンクルが発表したライブ・アルバムです。彼らのキャリア絶頂期とも言える1969年の秋に敢行されたツアーの中から、熱気あふれるパフォーマンスを捉えた音源が収められています。

このアルバムは、最初から広く流通したわけではありません。初登場は2008年3月25日で、アメリカの大手コーヒーチェーン、スターバックスの限定企画盤として世に出ました。その後、多くのファンからの要望に応える形で、翌2009年4月14日に通常盤として改めてリリースされ、より多くのリスナーが入手可能となりました。

収録曲は、この時期の彼らを代表する楽曲が中心を占めています。静謐な名バラードからリズミカルなナンバーまで、幅広い魅力が凝縮されています。例えば、人々の心に寄り添う「明日に架ける橋」や、都会の情景を描写する「59番街橋の歌 (フィーリン・グルーヴィー)」、そして彼らの初期を象徴する「サウンド・オブ・サイレンス」などが収録されています。また、彼らの代表作の一つである「ミセス・ロビンソン」や、壮大な物語詩のような「ボクサー」といった人気曲も、ライブならではの臨場感と共に楽しむことができます。

ほとんどの楽曲はポール・サイモンが作詞・作曲を手がけていますが、アート・ガーファンクルとの共作であるトラディショナル曲の編曲「スカボロー・フェア／詠唱」や、ジミー・ロングとジーン・オートリーによるカバー曲「ザット・シルバー・ヘアード・ダディ・オブ・マイ」も含まれており、彼らの音楽的な幅広さを示しています。

一方で、この1969年秋のツアーでは、ポール・サイモンが当時の政治状況に触れた自作曲「Cuba Si, Nixon No」を披露していたことが知られていますが、このアルバムには残念ながら収録が見送られています。

演奏には、ポール・サイモン（ボーカル、アコースティック・ギター）とアート・ガーファンクル（ボーカル）の二人に加え、彼らを支える優れたミュージシャンたちが参加しています。フレッド・カーター・Jr（アコースティック・ギター、エレクトリック・ギター）、ラリー・ネクテル（キーボード）、ジョー・オズボーン（ベース）、そして名ドラマーのハル・ブレイン（ドラムス、コンガ）といった実力派プレイヤーたちが、彼らの歌声と楽曲に深みを与えています。

『ライヴ1969』は、サイモン＆ガーファンクルがそのキャリアの頂点でどのようなパフォーマンスを見せていたかを伝える貴重な記録であり、数々の名曲がライブならではの息吹を伴って蘇る、ファンにとっては聴き逃せない一枚と言えるでしょう。

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