ラウトカ

ラウトカは、南太平洋に浮かぶフィジー共和国、その主要な島であるビティレブ島の西部に位置する中心都市です。2017年の国勢調査によれば、その人口は約7万1573人を数え、国の首都であるスバに次ぐフィジー国内第2の都市圏を形成しています。ナンディ国際空港のあるナンディからは北におよそ24キロメートルの距離にあります。

概要

ラウトカは、フィジーにおける重要な農産物であるサトウキビの主要な栽培地域に位置しています。この地理的特性から、都市の経済は精糖業を主軸として発展してきました。国内最大の砂糖工場が立地し、また主要な砂糖輸出港として機能するなど、都市の活動全体が砂糖関連産業を中心に展開されています。そのため、ラウトカは古くから「シュガー・シティ」という愛称で広く認識されています。

地名の由来

「ラウトカ」という地名は、フィジー語で「槍が命中した」という意味を持つ言葉に由来すると伝えられています。古来の伝承によれば、この地で二人の部族長が決闘を行った際、その様子を見ていた人々が「ラウ-トカ！（槍があたった！）」と叫んだことが、この地の名前の起源となったとされています。

ヨーロッパ人によるラウトカへの最初の公式な上陸記録は、1789年5月7日に遡ります。有名なバウンティ号の反乱により追放されたウィリアム・ブライ船長が、カヌーでティモール島への航海を続ける途上で、補給のためにこの地に立ち寄ったと記録されています。

歴史

近代都市としてのラウトカの歴史は、1929年に町として認められたことから始まります。その後、1977年2月25日には市へと昇格し、フィジー西部地方における唯一の市となりました。市政は、市民によって選出された16名の市評議員で構成される評議会によって運営され、その評議員の中から互選で市長が選ばれる仕組みとなっています。

ラウトカはフィジー国内における重要な工業拠点であり、国の総工業生産の約50%をこの一市で生み出しているとされています。フィジー電力庁やフィジー・パインといった主要企業の他、ミックスＦＭフィジーラジオ局もここに本社やスタジオを構えています。

1970年代以降、ラウトカの人口は著しく増加しました。1970年代初頭には約1万2000人だった人口が、1986年には約3万9000人、1996年には約4万3000人へと増加しました。この時期から、市の中心部だけでなく郊外地域も市街地化が進み、都市圏全体の人口と市域人口との間に差が生じ始めました。2005年には、市域人口が約5万5000人、都市圏人口は約8万人に達しました。初期のラウトカは砂糖産業との関わりからインド系住民が多数を占めていましたが、近年では農村部からの流入によりフィジー系住民も増加し、多様な人口構成となっています。

経済

ラウトカ経済の中心は何と言っても砂糖産業です。ラウトカ砂糖工場は市内で最大の雇用主であり、多くの住民が関連産業に従事しています。ラウトカにおける砂糖産業の礎は、1899年から1903年にかけて、当時の植民地精糖会社がインドやソロモン諸島から多くの労働者をこの地に連れてきたことに始まります。

砂糖産業に加え、ラウトカでは木材加工、繊維産業、醸造業、鉄鋼業など、様々な産業が発展しています。これにより、ラウトカはフィジー国内でも有数の多角的な工業都市としての地位を確立しています。

出身・関連著名人

プロゴルファーとして国際的に活躍したビジェイ・シンはこの街の出身です。

もう一度検索