バウンティ号の反乱

バウンティ号の反乱：史実、背景、そしてその後の物語

バウンティ号の反乱は、18世紀末にイギリス海軍の武装船バウンティで発生した、艦長に対する反乱事件です。この事件は当時大きな話題となり、その後、数多くの文学作品や映画の題材となりました。

事件の背景

バウンティ号は、タヒチから西インド諸島へ奴隷用の食料となるパンノキを輸送する任務を帯びていました。英国海軍が貨物船を買い上げ、臨時の軍艦として使用した比較的小型の船舶でした。そのため、「戦艦バウンティ」という呼称は正確ではありません。

乗組員は、艦長のウィリアム・ブライ以下、46名で構成されていました。ブライは33歳で、ジェームズ・クック船長指揮下のレゾリューション号で航海長を務めた経験がありましたが、艦長としては初めての任務でした。

1787年12月23日にイギリスのポーツマス港を出港。当初は南米のホーン岬を回る予定でしたが、天候不良のため喜望峰経由でインド洋を通過し、1788年10月26日にタヒチに到着しました。航海中、ブライは航海長のジョン・フライアを降格させ、フレッチャー・クリスチャンを海尉心得に抜擢しています。

1789年4月までタヒチに滞在し、パンノキなどを積み込みました。この間、クリスチャンはタヒチの女性と結婚し、多くの船員が現地での生活を楽しみました。脱走を企てた3人の船員は逮捕され、鞭打ち刑を受けています。

反乱の勃発

1789年4月4日、バウンティ号はタヒチを出航し、西インド諸島を目指して西へ向かいました。しかし、4月28日にトンガ付近で反乱が発生。乗組員44名のうち、クリスチャン以下12名が反乱に加担しました。ブライ艦長を含む19名は救命艇で追放され、反乱に加わらなかった13名は船に残されました。

ブライの指揮のもと、救命艇は41日間かけてトレス海峡を通過し、ティモール島にたどり着きました。

一方、反乱者を乗せたバウンティ号は、一時トゥブアイ諸島に滞在した後、タヒチへ向かいました。16名の船員がタヒチに残り、クリスチャンと8名の反乱者はタヒチの現地人を乗せ、ピトケアン島に到着。バウンティ号を解体し、その資材で島での生活を始めました。

反乱の鎮圧

1790年3月15日、ブライはイギリスに帰還し、反乱を報告。同年11月、フリゲート艦パンドラ号がバウンティ号の捜索に出発しました。1791年3月にタヒチに到着し、14名の元乗組員を逮捕しましたが、パンドラ号はグレート・バリア・リーフで座礁・沈没し、ピトケアン島へ逃れた反乱者を発見できませんでした。

ブライは軍法会議で無罪となり、職務に復帰。しかしその後、オーストラリア総督として赴任した際に、再び反乱に遭遇し、失脚しました。

反乱の原因

反乱の原因は諸説ありますが、ブライ艦長の苛烈な性格、劣悪な生活環境、タヒチでの自由な生活とのギャップ、クリスチャンの人望などが複合的に影響したと考えられています。

その後のピトケアン島

1808年、アメリカ船トパーズ号がピトケアン島に到着した際、バウンティ号の乗組員で生き残っていたのはジョン・アダムスのみでした。他の反乱者は、島での争いや病気などで死亡していました。アダムスは恩赦を受け、1829年に島で亡くなりました。

ピトケアン島は1838年にイギリス領となり、現在に至ります。バウンティ号が解体された場所はバウンティ湾と名付けられ、その残骸が今も残っています。

その後、島民は人口増加やよそ者による支配といった問題に直面しながらも、独自のコミュニティを形成し、現在も存続しています。

航海記録と乗組員

バウンティ号の航海記録は詳細に残されており、乗組員名簿も全乗員の名前が記録されています。

映画作品

バウンティ号の反乱は、これまでに何度も映画化されています。作品によってブライ艦長の人物像の描写が異なり、史実に基づいたものから娯楽性の高いものまで、様々な解釈がなされています。

関連項目

ピトケアン諸島
ウェイジャー号の反乱

外部リンク

バウンティ号の乗組員一覧
Mutiny on the HMS Bounty:Christian,Pitcairn,Norfolk（英語）
* 元のドキュメント（英語)

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