ティモール島

ティモール島：東西に分断された歴史と文化が交差する島

ティモール島は、小スンダ列[[島]]の東端に位置する島で、約3万平方キロメートルの面積を持ちます。この島は、東ティモールとインドネシア領西ティモールという二つの地域に分かれています。人口は約330万人（2020年時点）で、南にはティモール海を隔ててオーストラリア大陸が位置しています。

名称の由来

「ティモール」という名前は、マレー語やインドネシア語で「東」を意味する「timur」の異形に由来します。したがって、「東ティモール」は「Timor Timur」と表記され、しばしば「Timtim」と略されます。

行政区分：東西に分かれる島

ティモール島は、独立国である東ティモールと、インドネシアの東ヌサトゥンガラ州の一部である西ティモールに分かれています。東ティモールは、本土と飛び地のオエクシ＝アンベノから構成されています。

歴史：植民地支配と独立の歴史

植民地支配による東西分割

かつてティモール島には、リウライと呼ばれる王たちが割拠していました。16世紀にはポルトガル人が白檀を求めて来航し、1520年に領有を宣言、1586年には島を占領しました。その後、1640年にオランダ人が進出し、1701年にはポルトガルが島全域を領有するも、1859年のリスボン条約によって東西に分割され、オランダ領ティモールとポルトガル領ティモールが成立しました。1904年の協定で一部領土が交換され、1916年に最終的な境界が確定しました。

第二次世界大戦と戦後

第二次世界大戦中の1941年、オランダ軍とオーストラリア軍が中立国であったポルトガル領東ティモールを占領。1942年には日本軍がティモール島全域を占領し、東ティモールも事実上の統治下に置かれました。これに対し、オーストラリア軍がゲリラ戦を展開し、住民の一部も戦闘に参加しました。1945年の日本の敗戦後、ポルトガルやオランダの支配が一時的に復活しました。

1949年、オランダ領東インドがインドネシアとして独立すると、西ティモールはインドネシアの一部となりました。1975年、インドネシアが東ティモールに侵攻し実効支配しましたが、国連やポルトガルはこれを認めず、東ティモール人は抵抗を続けました。1999年の国民投票によって東ティモールは独立を果たしました。しかし、インドネシア政府は西ティモールへの独立運動の波及を警戒しており、2001年にはティモール島全土の統一を目指す「ティモール・ラヤ」運動が起こりました。現在もティモール島は分断されたままであり、統一統治は実現していません。

住民：多様な民族と文化

ティモールの住民は、歴史的・政治的な背景から、東西で若干の違いが見られます。しかし、元来は周辺の島々との間に大きな差異はありませんでした。

人種・民族

ティモール島には、メラネシア人が多数派として居住しています。東ティモールには、ポルトガル系住民が重要なマイノリティとして存在し、独立運動の指導者であるシャナナ・グスマンやジョゼ・ラモス＝ホルタもポルトガルとの混血です。

言語

主要な言語は、アウストロネシア語族マレー・ポリネシア語派のティモール・ババル語群に属します。主に西ティモールではウアブ・メト語、東ティモールではテトゥン語が使われています。公用語は、西ティモールではインドネシア語、東ティモールではテトゥン語とポルトガル語です。東ティモールでもインドネシア語は、インドネシア占領時代の教育や文化的な影響から、限定的に使用されています。

宗教

人口の約80%がキリスト教を信仰しており、カトリックが多数派ですが、西ティモールではプロテスタントも存在します。インドネシアではイスラム教が多数派であるのに対し、ティモール島はキリスト教徒が多い地域です。

自然：山岳地帯とサバナ気候

ティモール島は山地が多く、特に東ティモールでは国土の約3分の2が山岳地帯です。気候は主にサバナ気候で、12月から3月までの夏季が雨季となります。動物地理学上では、ウェーバー線がティモール島とオーストラリア大陸の間を通っており、ティモール島は東洋区の南東端を形成しています。ティモール海は比較的浅いですが、ティモール島付近で急激に深くなっています。また、ティモール島は地震の多い地域の一つです。

ティモール島