ラウル・カストロ

ラウル・モデスト・カストロ・ルスの生涯

ラウル・モデスト・カストロ・ルス（Raúl Modesto Castro Ruz）は、1931年6月3日に生まれたキューバの政治家であり、軍人、革命家として知られています。彼は兄のフィデル・カストロと共にキューバ革命を指導し、その後、キューバの国家指導者として長い間重要な役割を果たしました。

生い立ち

ラウルは、ビランにおいてガリシア人移民の父と母の間に生まれました。兄フィデルと共に幼少期を過ごし、ハバナの私立小学校で教育を受けました。社会科学を専攻したハバナ大学では、兄のフィデルとは異なり、平凡な学生生活を送りました。彼の社会主義への傾倒は早くから始まり、兄と共に学生運動に参加しました。

キューバ革命

1953年、ラウルは7月26日運動に参加し、モンカダ兵営襲撃事件で逮捕され、その後釈放されました。釈放後、フィデルと共にメキシコに亡命し、キューバへの凱旋を果たしました。ゲリラ戦を展開し、1958年には東部地域の指揮を任され、バティスタ政権の崩壊に貢献しました。

革命後、ラウルはフィデルの右腕として様々な役職を歴任し、1959年には革命軍事相に就任しました。1965年にキューバ共産党が結成されると、彼は第二書記として政権の主要なポジションに立ちました。

フィデルの後継者

1976年には国家評議会第一副議長に就任し、1986年にはフィデルから「後継者」として指名されました。2008年2月にはフィデルが国家評議会議長を退任すると、ラウルは後継者として国家評議会議長及び閣僚評議会議長に就任しました。その後、彼はキューバにおける政策の改革を進め、経済の市場化に向けた改革案を打ち出しました。

また、2018年には、国家評議会および共産党第一書記の地位をミゲル・ディアス＝カネルに委譲し、権力の世代交代を果たしました。

内政と経済改革

ラウルは、フィデルと比較して経済政策においてより市場主義的な姿勢を示すことが多く、特に中国の社会主義市場経済に触発されていました。彼は2008年からはDVDプレーヤーやパソコンなどの民生用商品購入を解禁し、国営企業の給与引き上げを指示するとともに、農地改革や外国投資の奨励を進めました。

2019年には、新たな憲法が施行され、私有財産の認知などが含まれました。これにより、キューバ社会は徐々に変革の道を歩み始めました。

国際関係

アメリカとの関係改善にも数多くの展望を持ち、ラウルは2008年以降、多くの外交的なステップを踏みました。彼はオバマ政権との関係を前向きに捉え、2015年には米・キューバ首脳会談を行うなど、国交正常化に向けた動きを進めました。

また、日本との関係も強化され、複数回の高官による訪問が行われていることも特筆すべき点です。

退任後

2018年以降は公の場にはあまり姿を見せず、2021年には共産党第一書記としての任期を満了しました。2023年には、かつての同志であるディアス＝カネルを支持し、革命の記念大会に出席しました。

家族

彼は1959年にヴィルマ・エスピンと結婚し、一男三女をもうけました。長女のマリエラは性マイノリティの権利擁護活動を行っており、長男のアレハンドロも政府に関与しています。ラウル・カストロの生涯は、キューバだけでなく国際政治にも強く影響を与えるものでした。

もう一度検索