ラクトニトリル

ラクトニトリルとは

ラクトニトリル（lactonitrile）は、有機化合物の中でも乳酸の誘導体に分類されるヒドロキシニトリルです。外見は麦ワラ色の液体であり、その性質から工業的にも様々な用途があります。ラクトニトリルは、不斉炭素を含むため、D体（R体）とL体（S体）の2種類のエナンチオマーが存在します。また、日本の毒物及び劇物取締法に基づき、ラクトニトリルは劇物として扱われています。

主な用途

ラクトニトリルは、主に溶剤として使用されるほか、化学合成の過程においては乳酸や酢酸エチルの合成における重要な中間体となっています。特に日本では、この化合物が乳酸やアラニンの合成に寄与しています。また、ヨーロッパでは、アクリル繊維や樹脂の合成過程でもラクトニトリルが使用され、これらの材料の生産において重要な役割を果たしています。

合成方法

ラクトニトリルの合成は、主に2つの方法で行われます。

1. ラセミ体の合成
DL体（ラセミ体）のラクトニトリルは、アセトアルデヒドにシアン化カリウムを添加することで生成されます。具体的な化学反応式は以下の通りです：

```
CH3CHO + KCN → CH3CH(OH)CN
```
ここで、CH3CHOはアセトアルデヒド、KCNはシアン化カリウムです。

2. D体の合成
D体のラクトニトリルは、トレオニンというアミノ酸を酸化的に脱炭酸することで得られます。この反応では、クロラミン-Tなどの酸化剤が用いられ、以下のような反応式になります：

```
CH3CH(OH)CH(NH2)COOH + [Ox] → CH3CH(OH)CN
```
このようにして、ラクトニトリルはさまざまな化学反応を通じて合成されます。

注意点

ラクトニトリルは劇物に指定されているため、取り扱う際には慎重を要します。安全な作業環境を整えることが大切で、その使用に際しては適切な防護具を着用し、十分な換気を行うことが求められます。また、化学的な性質により、環境への影響も考慮しなければなりません。

参考文献

本記事に関する詳細な情報は、「化学辞典」（東京化学同人）などの専門書を参考にすると良いでしょう。

もう一度検索