ガラクトース

ガラクトース：甘味と生体機能を支える単糖

ガラクトースは、アルドヘキソースと呼ばれる単糖の一種で、グルコースと化学式は同じC₆H₁₂O₆、分子量180です。乳製品、甜菜、ガム、粘液などに含まれ、ヒトの体内でも合成されます。

ガラクトースの性質と役割

ガラクトースは、エネルギー源として利用されるだけでなく、生体において重要な役割を担っています。特に、糖脂質や糖タンパク質といった生体分子の構成成分として、細胞膜や組織の構造維持に貢献します。

ラクトースとの関係

ガラクトースは、グルコースと結合することで、乳糖（ラクトース）を形成します。ラクトースは、母乳や牛乳に含まれる主要な糖であり、乳幼児期の栄養源として重要な役割を果たします。

ヒトは、ラクターゼという酵素を用いてラクトースを加水分解し、グルコースとガラクトースに分解することで吸収します。この酵素が不足すると、乳糖不耐症となり、下痢や腹痛などの症状が現れます。

生体内での代謝

ガラクトースは、通常の解糖系とは異なる経路で代謝されます。まず、ウリジン二リン酸（UDP）誘導体に変換され、その後、一連の酵素反応を経てグルコース-6-リン酸になります。この代謝経路は、ルロワール経路と呼ばれ、グルコースへの変換に4つの酵素が関わります。

ガラクトース代謝異常とガラクトース血症

ガラクトースの代謝に関わる酵素に遺伝子異常があると、ガラクトース血症という遺伝病を引き起こします。この病気では、ガラクトースがグルコースに変換されにくく、血液中のガラクトース濃度が上昇します。

ガラクトースの蓄積は、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。例えば、高い血中ガラクトース濃度が、目の水晶体に影響を与え、ガラクチトールに還元されて蓄積することで白内障を発症する可能性があります。

ガラクトースの分布

ガラクトースは、動物、植物、藻類など、様々な生物に広く分布しています。

動物: プロテオグリカンやガングリオシドなどの糖鎖構成成分として、ヒトを含む動物の体内に存在します。
植物: キシログルカン、ペクチン、アラビノガラクタンなどの細胞壁多糖類の構成成分として、陸上植物に存在します。
* 藻類: アガロースやカラギーナンなどの細胞壁多糖類の構成成分として、海藻類に多く含まれます。一部の海藻類では、L体のガラクトースも見られます。

まとめ

ガラクトースは、エネルギー源としてだけでなく、生体分子の構成成分として重要な役割を果たす単糖です。その代謝異常は、健康に深刻な影響を与える可能性があるため、ガラクトースの生体内での役割と代謝経路についての理解は重要です。

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