ラグサ共和国

ラグサ共和国：アドリア海の自由都市

ラグサ共和国（イタリア語: Repubblica di Ragusa、クロアチア語: Dubrovačka Republika）は、14世紀から19世紀初頭にかけて、ダルマチア地方のドゥブロヴニク（ラグーザ）を中心に栄えた都市国家です。その歴史は、自由と独立を追求し、交易によって繁栄を築き上げた海洋共和国の典型として語られます。

独立と繁栄の時代

1358年、ラグサはハンガリー王国からの独立を達成し、共和国としての歩みを始めます。15世紀から16世紀にかけては、アドリア海および地中海貿易でめざましい発展を遂げました。最盛期には300隻もの通商船を擁し、人口は4万人に達したと伝えられています。ラグサの商船は、地中海各地を結び、富と文化を運び込みました。

衰退と終焉

しかし、1667年の大地震は、ラグサに深刻な打撃を与えます。地中海貿易の衰退も重なり、共和国は徐々にその勢いを失っていきました。1806年にはナポレオン軍に降伏し、1808年にはイタリア王国に併合され、その歴史に幕を閉じます。ウィーン会議では再独立が認められず、オーストリア帝国の支配下に入りました。

文化遺産と記憶

ラグサ共和国は消滅しましたが、その遺産はドゥブロヴニクの街に今も息づいています。堅牢な城壁、美しい教会や宮殿など、中世の面影を残す建造物は、世界遺産に登録されています。また、ラグサ共和国のアーカイブは、世界の記憶にも登録され、その歴史と文化は後世に伝えられています。

海洋共和国の系譜

ラグサ共和国は、ヴェネツィア共和国やジェノヴァ共和国など、地中海に存在した他の海洋共和国と並び称されます。これらの都市国家は、交易を通じて独自の文化を育み、政治的な独立を維持しました。ラグサ共和国の歴史は、海洋貿易がいかに都市の繁栄と自由をもたらすかを物語る好例と言えるでしょう。

関連項目

海洋共和国
アンコーナ共和国
ヴェネツィア共和国
ジェノヴァ共和国
聖ブラシウス - ラグサの守護聖人
ガンダウリム - かつてラグサ共和国の植民地だったという説があるインドの都市

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