ラケーテンヤークトパンツァー

ラケーテンヤークトパンツァーの概要

ラケーテンヤークトパンツァー（Raketenjagdpanzer）は、1960年代に西ドイツで開発・製造された対戦車駆逐戦車です。この車両は、主にラングHS.30歩兵戦闘車のシャーシを基に作られ、対戦車ミサイルを装備することで戦闘能力を高めています。特に、SS.11およびHOT対戦車誘導ミサイルが装備されているモデルがあり、前線での戦車撃破を狙った設計となっています。

ラケーテンヤークトパンツァーの各モデル

ラケーテンヤークトパンツァー 1

最初のモデルであるラケーテンヤークトパンツァー 1は、1961年に就役し、西ドイツ軍が使用した初の対戦車駆逐戦車です。この車両は、イスパノ・スイザ HS.30のシャーシ上に作られ、2基のSS.11対戦車誘導ミサイルランチャーを備えています。片方のランチャーは外部に露出しており、もう片方は内部に格納されています。この設計によって、発射準備中のランチャーに対して迅速な再装填が可能です。

ラケーテンヤークトパンツァー 1は、合計10発のミサイルを搭載可能で、理論上は10両の敵車両を撃破する能力を持っていました。ただし、実際の性能には限界があったため、その期待は過大だったと言われています。SS.11ミサイルは600 mmの装甲を突破でき、砲手は発射後も小型の潜望鏡でミサイルを制御し続ける必要がありました。

ラケーテンヤークトパンツァー 2

続くモデル、ラケーテンヤークトパンツァー 2は、1967年から1982年まで活躍しました。この車両もSS.11対戦車誘導ミサイルを装備し、外見的にはカノーネンヤークトパンツァーと似ていました。プロトタイプは1963年から1965年に開発され、その後318輌が製造されています。

このモデルでは、強化された武装が特徴で、SS.11ミサイル用の発射レールとMG3機関銃を2挺備えています。ミサイルは14発搭載でき、そのうちの12発は車内に格納され、残りの2発が発射レールに取り付けられました。交戦距離は1.5 kmから3 kmであり、敵戦車と戦うための設計となっています。

ラケーテンヤークトパンツァー 3と4

さらに進化したバージョンとして、ラケーテンヤークトパンツァー 3 及び 4が存在します。モデル3はHOT対戦車誘導ミサイルを装備し、モデル4はカノーネンヤークトパンツァーの主砲を取り外し、BGM-71 TOW対戦車ミサイルに改良されています。これらの改良は、時代の進展に応じた戦闘能力の向上を目指したものです。

まとめ

ラケーテンヤークトパンツァーは、西ドイツの対戦車戦術に革新をもたらした重要な車両です。その各モデルは異なる特性を持ち、戦場での役割を果たしました。特に、SS.11とHOT対戦車ミサイルの搭載により、敵の戦車を効果的に撃破する能力が強化され、冷戦時代のドイツ陸軍における貴重な武器となりました。

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