カノーネンヤークトパンツァー

カノーネンヤークトパンツァー 4–5 (Kanonenjagdpanzer 4–5)

カノーネンヤークトパンツァー 4–5（通称KJPz.4-5）は、1950年代から1960年代にかけて西ドイツで開発された駆逐戦車です。この車両は、冷戦期における西ドイツの防衛において重要な役割を果たしました。

開発の背景

第二次世界大戦終戦後の1955年、西ドイツは再建されたドイツ連邦軍を基に、国産の軍備を整える計画を進めていました。その一環として、行われたのがカノーネンヤークトパンツァーの開発です。1955年にスタートしたこのプロジェクトでは、スイスから導入されたイスパノ・スイザ社製のラングHS.30歩兵戦闘車の車体を活用し、対戦車戦車両として設計されました。

しかし、ラングHS.30の車体に90mm対戦車砲を砲搭載することが困難だったため、その後1950年代末頃、HS.30のシャーシを利用して新たに駆逐戦車と装甲兵員輸送車の開発が決定します。1960年には、最初の試作車が西ドイツのヘンシェルやハノマーグで、一台ずつ製造され、翌1962年から1963年にかけて、さらなる試作車が製造された結果、最終的に1965年に制式化されました。

設計の特徴

カノーネンヤークトパンツァーの設計には、第二次世界大戦中に開発された駆逐戦車や突撃砲の影響が色濃く見られます。特にIV号駆逐戦車やE-25との関連性が強く、外観や兵装の配置がそれを示しています。

この車両は、流用したシャーシに新設計の傾斜した密閉式戦闘室を搭載し、前方に90mm砲を配置しています。車両の幅は2.0メートル、高さは0.75メートルで、主砲の左側には操縦手と車長が、右側には砲手と装填手が座っています。搭載できる燃料は470リットルです。

兵装

カノーネンヤークトパンツァーの主砲は、ラインメタル製の90mm対戦車砲で、初速は1,145m/秒を誇ります。また、当時のソ連製戦車に対しては有効な貫通能力を持っていました。弾薬は、同じ口径のM47パットンやM48パットンと共通であり、主に成形炸薬弾が使用されていました。最大搭載弾数は51発、俯仰角は-8°から+15°に調整可能です。

さらに、副武装として、ラインメタルMG3 7.62mm機関銃を主砲の同軸に装備し、戦闘室上面にも配備しています。加えて、発煙弾発射機が設けられ、戦術的に使用されています。

運用履歴

カノーネンヤークトパンツァーは1965年から1967年までに合計770両が生産され、冷戦時代の西ドイツにおける防衛の要となりました。1975年には、80両がヤークトパンツァーカノーネ90という名でベルギーに輸出されました。

1980年代に入ると、新たな装甲車両の登場により90mm計測の威力が懸念され始め、105mm砲への換装提案やBGM-71 TOWミサイル搭載型への改修が行われました。

派生型と使用

カノーネンヤークトパンツァーには、砲兵隊用の装甲偵察車両や観測車両への改造型も存在し、一部は観測専任車両として部隊に配属されました。1991年まで、ハイマットシュッツトルッペ及びドイツ連邦軍に装備され続けました。

メディアへの登場

この戦車は、模型やアニメ、ゲームなど多くのメディアでも登場しています。タミヤの1/48スケールやレベルの1/35スケールの模型として製品化されており、アニメ『超電磁マシーン ボルテスV|超電磁マシーン_ボルテスV』では地球防衛軍の兵器として号泣されています。また、ゲーム『World of Tanks』や『War Thunder』にも登場し、今なお多くの人々に認知されています。

もう一度検索