ラザマナズ

ラザマナズ (Razamanaz)

『ラザマナズ』は、スコットランドを代表するハードロックバンド、ナザレスが1973年に発表した通算3枚目のスタジオ・アルバムです。この作品は、ナザレスにとって商業的な成功を掴む最初の大きな一歩となり、彼らの名を広く知らしめるきっかけとなった非常に重要な一枚です。特に、本作がバンドとして初めて全英アルバムチャートをはじめとする主要チャートにランクインしたLPであることは、その後の世界的な活躍への足がかりとなりました。

本作の制作にあたり、プロデューサーとして迎えられたのは、当時すでにディープ・パープルのメンバーとしても知られていたロジャー・グローヴァーです。グローヴァーは、ナザレスが元々持っていたパワフルかつストレートなハードロックサウンドに磨きをかけ、ダン・マッカファーティーの独特なヴォーカルスタイルや、マニー・チャールトンの印象的なギターリフ、そしてピート・アグニューとダレル・スウィートによる強固なリズムセクションの魅力を最大限に引き出すことに成功しました。彼のプロデュースワークにより、バンドのサウンドはよりフォーカスされ、アルバム全体として洗練された仕上がりとなっています。

アルバムには、バンドのセルフ・プロデュースによる初期のシングル曲を再録した「ウォーク・アップ・ディス・モーニング」を含む、全9曲が収録されています。収録曲とその収録時間は以下の通りです。

ラザマナズ (Razamanaz) — 3:52
作曲：マッカファーティー、アグニュー、チャールトン、スウィート
アルカトラス (Alcatraz) — 4:23
作曲：レオン・ラッセル
ヴィジランテ・マン (Vigilante Man) — 5:21
作曲：ウディ・ガスリー
ウォーク・アップ・ディス・モーニング (Woke Up This Morning) — 3:53
作曲：マッカファーティー、アグニュー、チャールトン、スウィート
ナイト・ウーマン (Night Woman) — 3:29
作曲：マッカファーティー、アグニュー、チャールトン、スウィート
バッド・バッド・ボーイ (Bad Bad Boy) — 3:55
作曲：マッカファーティー、アグニュー、チャールトン、スウィート
ソールド・マイ・ソウル (Sold My Soul) — 4:49
作曲：マッカファーティー、アグニュー、チャールトン、スウィート
トゥー・バッド・トゥー・サッド (Too Bad Too Sad) — 2:55
作曲：マッカファーティー、アグニュー、チャールトン、スウィート
ブロークン・ダウン・エンジェル (Broken Down Angel) — 3:45
作曲：マッカファーティー、アグニュー、チャールトン、スウィート

特に「バッド・バッド・ボーイ」や「ブロークン・ダウン・エンジェル」は、シングルとしてもヒットし、アルバムの成功に大きく貢献しました。これらの楽曲は、ナザレスのハードロックバンドとしての魅力を凝縮しています。また、レオン・ラッセルの「アルカトラス」や、フォーク界の巨匠ウディ・ガスリーによる「ヴィジランテ・マン」といった外部の作家による楽曲を取り上げていることも、本作の特徴の一つと言えるでしょう。

『ラザマナズ』で確立されたハードでキャッチーなサウンドは、その後のナザレスの音楽性の基盤となりました。このアルバムの成功を経て、バンドはさらに勢いを増し、数々のヒット曲とセールス的に成功したアルバムを連発し、1970年代のロックシーンにおいて確固たる地位を築き上げていきます。

本作、特にタイトル曲「ラザマナズ」は、後進のアーティストたちにも影響を与え続けています。例えば、デンマークのテクニカルスラッシュメタルバンドであるアーティレリーは、1990年に発表したアルバム『バイ・インヘリタンス』の中でこの曲をカバーしました。また、クワイエット・ライオットのヴォーカリストとして知られるケヴィン・ダブロウも、2004年にリリースしたカバーアルバム『イン・フォー・ザ・キル』にこの曲を収録しています。さらに、アメリカのロックバンド、スーパーサッカーズは、1992年のコンピレーションアルバム『ザ・ソングス・オール・サウンド・ザ・セイム』にて、「Razzmanazz」と表記を変えてカバーしています。

このアルバムの制作に携わった主要なバンドメンバーとスタッフは以下の通りです。

バンドメンバー

ダン・マッカファーティー: リードヴォーカル
ダレル・スウィート: ドラム、パーカッション、バッキングヴォーカル。また、ライナーノーツも担当。
ピート・アグニュー: ベースギター、バッキングヴォーカル
マニー・チャールトン: エレクトリックギター、アコースティックギター、スライドギター、バンジョー、バッキングヴォーカル

その他

ロジャー・グローヴァー: プロデューサー。加えて、ベースギターとパーカッションでも演奏に参加しています。
アラン・パーキンス: レコーディングエンジニア。Pye Mobile Recording Unitを使用。
パトリック・ウォッターズ、フィン・コステッロ: フォトグラフィーを担当。
マイク・ブラウン、ロバート・M・コリッチ: リマスタリングを担当。コリッチはライナーノーツも手掛けました。
* デイヴ・フィールド: アルバムのデザインを担当。

『ラザマナズ』は、ナザレスがその真価を発揮し、世界的な認知を得るきっかけとなった記念すべきアルバムです。初期ハードロックの重要な作品として、リリースから長い年月を経た現在も多くのファンに聴き継がれています。

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