ラザール・カルノー

ラザール・カルノーの生涯と功績

ラザール・ニコラ・マルグリット・カルノー（Lazare Nicolas Marguerite Carnot）は、1753年5月13日にフランスのブルゴーニュ地方・ノレーにて生まれました。彼は平民の出身として、弁護士の家庭に育ちましたが、特に数学と軍事において傑出した才能を示しました。1771年、神学校を卒業後にメジエール王立工兵士官学校に入学し、1773年には優秀な成績で卒業しました。その後、技術将校としてフランス北部に勤務し、余暇を研究と著述に費やしました。

特に彼が発表した軍人ヴォーバンについての論文は彼の名を知らしめるきっかけとなります。また、『機械一般に関する試論』においては、エネルギー保存の法則について新たな証明を行い、後の数学においても重要な位置を占めるようになりました。しかしその才能は平民出身であるが故に、当初は十分に活用されませんでした。1789年には決闘問題で短期間収監されるなどし、昇進の道が閉ざされたようにも思えましたが、革命がその運命を変えました。

1791年、カルノーはパ＝ド＝カレー県の富豪デュポン家の娘ソフィーと結婚し、同年には立法議会に議員として選出されます。1792年にはフランス革命が本格化し、戦争が始まります。この時、カルノーは軍事に関する知識を活かして軍事委員として各地に派遣され、フランス軍が再び戦場で勝利を収めるための基盤を作りました。特にヴァルミーの戦いでの勝利は彼の手腕によるものです。

その後、カルノーは国民公会の議員として1794年には議長に昇進しますが、ロベスピエール派の恐怖政治に対抗し、次第にその立場を失っていきます。1795年には元老会議員に立候補し当選もしますが、1797年の王党派の勝利後には嫌疑をかけられ、ニュルンベルクへ亡命せざるを得なくなりました。

亡命後は数学の研究に専念し、特に『無限小算法についての形而上学的考察』は高く評価され、多言語に翻訳されました。1799年にフランスへ帰国後、ナポレオン・ボナパルトに仕官し、1800年には戦争大臣を務めることになりますが、彼は常に共和主義の立場を持ち続けました。ナポレオンの帝政期には賞賛される一方で、その政策には懐疑的でした。

引退後も数学の研究に没頭し、特に『位置の幾何学について』は現代幾何学の基礎の一部と見なされています。1814年にはナポレオンの下に再度戻り、冷静な判断力と愛国心から軍に復帰し、アントウェルペンでの任務を全うします。その後の王政復古では反動政治に失望し、最終的には追放されてドイツのマクデブルクに移り住み、余生を送りました。1823年にはそこで死去し、遺体は1889年にパリのパンテオンに埋葬されました。

カルノーの名は彼の子孫たちにも受け継がれました。長男のニコラ・レオナール・サディ・カルノーは熱力学におけるカルノーサイクルの概念を提唱し、次男のラザール・イポリット・カルノーは政治家として知られています。また、同じく孫のマリー・フランソワ・サディ・カルノーはフランスの大統領にまで上り詰めました。彼の遺産は、今なお各分野で評価されています。カルノーの生涯は、革命期の混乱の中での献身と功績を物語っており、歴史に名を残す偉大な人物とされています。

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